7.ナレーションやセリフで「刺客」を「シキャク」と言っているのが気になって、つい調べてしまうのですが、手元の辞書では「シキャク」は載ってるものと載っていないものがあり、よく耳にする「シカク」の方が一般的、という扱い。だけど、より正しくは「セッカク」と読むらしい。漢和辞典を見ると、「客」は漢音がカク、呉音がキャク。「刺」は漢音がセキ、ということで、漢音だとセッカクになる訳だけど、一方で「刺」には漢音・呉音ともにシという読みもあり、普通はこちらを使っている。また「客」をキャクと読むのも一般的。同音異義語がない解りやすさの点で、この作品ではシキャクで統一したんですかね。 とかいうことは映画の内容とは関係ないけど、おかげで少しだけ勉強になりました。さて。 ケレン味というものも、行き過ぎるとどうなるか、はい、こうなります、という良い見本がこの、子連れ狼。 昭和がいかに変な時代だったか、なんてことがよくテレビなどでも取り上げられますが、一口に昭和と言っても、本当にトチ狂っていて本当にアブなかったのは、70年代だと思っております。一事が万事、こけおどし。当時の子供心にもつくづく、怖い時代だったと思う。これに比べりゃ80年代のオリジナリティなんて、大したことないんじゃないかと。これでもか噴き出る鮮血、首は飛ぶわ、手はもげるわ、足は切断されるわ、人体損壊のオンパレード。結局のところ、こういう作品があってこそ、『キル・ビル』なんていう作品が作られたりもするのですが、70年代の日本は自然発生的に平然とこういう世界に行きついてしまってる訳で、まあ、恐るべし、な訳です。 何よりも、これで監督が、今では名匠として有難がられている三隅研次。これではもはや、誰にも止められませぬ。 勝プロダクション製作で、配給が東宝。主役の若山富三郎で、この当時は東映に移籍していますが、大映関係者として、三隅監督以外に伊達三郎などお馴染みの脇役陣の姿も。もうグチャグチャですね。 途中、劇伴音楽もなく効果音も最低限しか入れられない無音のシーンが何度かあって、こういうのも演出として有りは有りでしょうけど、何度もやられると、ちょっと工夫が無いというか、安っぽい。それ以外にも、これを大映時代劇の延長として見てしまうと、何となく安っぽく感じてしまう面は、あります。 しかし、若山富三郎の殺陣は、これはもう、間違いなく一級品だと思います。拝一刀のイメージはこんな小太りのオジサンではなく萬屋錦之介の方がしっくり来るのですが、それを差し引いてもなお、ナンボでもお釣りがきます。ホント、さすが。 エロありグロありアクションあり。大のオトナが集まってこんなことをやってる、ってのが、素晴らしい。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2025-05-06 12:57:14) 《新規》 |
6.ネタバレ 製作当時の邦画界はどん底で死に体も同然、それで勝プロ製作で出演俳優は東映作品の常連ばかりという本シリーズが東宝から配給されるという珍現象が起こったわけです。若山富三郎の拝一刀は原作キャラとは容姿があまりにもかけ離れていて違和感が半端ないのですが、その殺陣の切れ味はさすがです。劇画チックなお話し(劇画が原作ですから当たり前ですね)を三隈研次が独特の映像表現を駆使してまとめ上げており、冒頭の若君介錯の件なんかはシンプルに徹した様式美ながら思わず引き込まれてしまいます。現代では絶対製作できないどころか地上波での放映さえ不可能なスプラッターぶりには、唖然どころかもう笑うしかないという気分になるぐらいです。笑わせてくれたのが無頼集団のボス官兵衛が子連れ浪人を拝一刀と気づくシーンで、あれは当時NHKで放送されていた『連想ゲーム』のパロディかと突っ込みたくなるほどのバカバカしさでした。 それにしても大五郎の愛くるしいこと、この人は今どんなおじさんになっているんでしょうか、その姿を見るのはなんか恐い気もします。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2018-12-19 22:10:49) |
5.ネタバレ 大五郎かわえー。この度、子連れ狼に興味を持って見てみたので、初期設定とかから丁寧に見せてくれて良かったです。それにしても座頭市と同監督の三隅研二さんとは思えないくらいエログロで悪趣味なシーンが多い。公開セックスをするヒーローなんて初めて見ました。結局暴れるのに無駄に我慢していた拝さんが不可解極まりない。 この大味さと、B級臭さは好きです。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-11-24 01:12:39) |
4.映画版「子連れ狼」は初見でした。本作は子連れ狼誕生篇といった感じで、半分ぐらいは回想シーン。敵もまだ弱めで、ちょっと物足らない点もありますが、それでも一作めから若山富三郎の豪快な殺陣は楽しめます。ただ、烈堂役の伊藤雄之助だけは、若干やりすぎだったかも。セリフ聞き取りにくいほど力を入れなくてもいいのに。 【KYPA】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-04-20 21:48:14) |
3.ネタバレ 第1作。子連れ狼ものを初めて見る...血糊といいいかにも70年代初頭の作りだけど面白かった。有名な時代劇だからもっと娯楽的なものかと思ったら、意外にもアダルトなシーンもあって驚いた。こういうの観ると眠狂四郎や新東宝のエログロなんて…と思う。監督が三隅研次だけあって映像もスタイリッシュで斬新。伊藤雄之助も「忍びの者」の百地三太夫を思わせる怪演で印象深い。 【バカ王子】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2006-04-17 23:01:50) |
2.凄い。何といっても若山富三郎の濃厚な存在感と圧倒的な殺陣が物凄い。時代劇きってのエンターテイメントシリーズと言われるだけに、全編に溢れる斬新な娯楽性に惚れ惚れするほどだ。三隅研次による秀麗な映像センスにも目を見張る。実弟・勝新太郎の「座頭市」に並ぶ革新的な娯楽時代劇だと思う。クエンティン・タランティーノが惚れ込むわけだ…まさにケッサク。 【鉄腕麗人】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2004-05-16 15:28:10) |
1.シリーズ1作目、始まりの物語。大吾郎の活躍や乳母車のスーパー機能こそまだ無いが、水の川と炎の川に挟まれた道を一刀が歩くオープニングに始まり、バッサリ感抜群のスピーディな殺陣、吹き出る鮮血、ストイックな一刀、そして大量の裸とまさに「子連れ狼」である。 背中に乗せた大吾郎の額に鏡を貼り、太陽の光で眼を眩まして斬る。絶妙。 冥府魔道とはいったい何なのかが良く分からんが、やはりこのシリーズは間違いなく面白い。 【紅蓮天国】さん 7点(2003-12-26 16:42:25) |