赤目四十八瀧心中未遂 の 彦馬 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ア行
 > 赤目四十八瀧心中未遂
 > 彦馬さんのレビュー
赤目四十八瀧心中未遂 の 彦馬 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 赤目四十八瀧心中未遂
製作国
上映時間159分
劇場公開日 2003-10-25
ジャンルドラマ,ラブストーリー,小説の映画化
レビュー情報
なぜ尼崎なのかと問われた男が一言「甲子園に近いから」、そして赤目の食堂で高校野球のアナウンスが余韻を残すように聞こえてから一気にイメージが広がりました。この男は、少年時代に来る日も練習した野球、憧れの甲子園、そういった遠き日の姿、生気ある過去への憧憬とまだ自分にも生きる価値、可能性があるのではないかという生への欲求、それとそれが幻想であらんとする死への欲求(死への欲求は生きている証拠である)、その両者の精神的心中に及んだのではないのか、と。尼の地で生暖かな生を抹殺し、血の通わない物体として生きることを選択することで、必然、臓物に串刺す反復運動はそのシンボルとなります。そうイメージすると、赤目の食堂で死に向かわんとする女を前にし、高校野球のアナウンスが男の心に届くように響いているのは、男の精神的心中が未遂に終わっている証左であって、その後の四十八瀧での男女心中が未遂となることはその時点で確定されており、見守るアパートの住人達はただ未遂の上書きの目撃証人としての地位を与えられ安楽しているように見えました。そして蝶を捕まえ切れなかったというその男に特権たる過去は、現在において衆人の知るところとして復権し、女の死への欲求は鮮やかに生へと転換し、男の卑小ぶりと女の飛翔ぶりを剥き出しにしています。そんなイメージが膨らんだ点においてこの映画を評価したいと思うのです。
彦馬さん [DVD(字幕)] 8点(2005-05-10 12:29:47)(良:1票)
彦馬 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2007-02-17Gガール/破壊的な彼女6レビュー5.71点
幸せのちから8レビュー5.51点
2007-01-10かもめ食堂9レビュー6.62点
2007-01-10スワンプ・ウォーター8レビュー8.00点
2007-01-10結婚の夜8レビュー7.00点
2007-01-10ガラスの脳8レビュー5.12点
2006-12-12小早川家の秋9レビュー7.10点
2006-12-12東京の宿7レビュー6.44点
2006-12-12戸田家の兄妹9レビュー8.18点
2006-12-12淑女は何を忘れたか10レビュー7.73点
赤目四十八瀧心中未遂のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS