父、帰る の onomichi さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > チ行
 > 父、帰る
 > onomichiさんのレビュー
父、帰る の onomichi さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 父、帰る
製作国
上映時間111分
劇場公開日 2004-09-11
ジャンルドラマ
レビュー情報
解かれざる問いがあっさりと解かれてしまう。これこそが出来損ないのミステリーと言えるのではないか。現代のミステリーとは、謎が問いかけられ、そして解かれないこと、世界と人間という大いなる謎の前で解かれるべき謎のちっぽけさに愕然とし、そこから新たに謎が連鎖すること、事件の解決が読者を宙吊りにすること等々、一筋縄ではいかないのが特徴であり、ミステリーとして、作者や登場人物、そして読者たる僕らが謎に対峙する姿勢には実に現代的有り様が反映されているのだ。
確信犯的に謎を残す映画『父、帰る』は、まさにそんな現代的な謎に満ちたミステリーだといえようか。しかし、この映画で問われて解かれない謎については、それが解かれ得ない状況に追い込まれてしまうという、その状況設定こそがこの映画の肝ではないかと僕は感じる。つまり謎の解決が知らしめる真相とか真実そのものには大した意味はないはずなのだ。
この映画はもっと素直に観られるべきだと思う。父と子、母と子、兄弟、そして家族。その根源的な関係性から立ち上る感情というもの、そして生きる原理としての赦しの視線をもってこの作品を観てみれば、そこで描かれるドラマに最初から謎などない。この映画はロードムーヴィー的な平板な物語に内包される人間同士の言葉を超えた感情劇なのであり、僕らはその微妙さこそを感じ取るべきなのだ。

実は僕も偶にしか帰らない父なのだが、父帰る時の息子の視線には気を配るようにしているゾ。。。
onomichiさん [映画館(字幕)] 9点(2005-10-02 10:15:26)(良:2票)
onomichi さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-30生きる9レビュー8.03点
生きる LIVING8レビュー6.50点
2024-04-29オッペンハイマー9レビュー6.65点
2024-03-05落下の解剖学8レビュー6.75点
2019-03-30寝ても覚めても10レビュー6.53点
2013-12-26ゼロ・グラビティ10レビュー7.63点
2013-01-29アルゴ10レビュー7.14点
2013-01-29鍵泥棒のメソッド10レビュー7.36点
2012-11-03ロック・オブ・エイジズ10レビュー6.60点
2012-08-27桐島、部活やめるってよ10レビュー7.18点
父、帰るのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS