ベンジャミン・バトン/数奇な人生 の onomichi さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ヘ行
 > ベンジャミン・バトン/数奇な人生
 > onomichiさんのレビュー
ベンジャミン・バトン/数奇な人生 の onomichi さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ベンジャミン・バトン/数奇な人生
製作国
上映時間159分
劇場公開日 2009-02-07
ジャンルドラマ,ファンタジー,ミステリー,ロマンス,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 彼らは永遠を求めた。
そして、それを見つけた、、、のだろうか? 海と解け合う太陽を胸に刻んだのだろうか?

この物語はファンタジーであり、寓話である。2人の男女が同じように年を経るのではなく、男は80歳から老いを逆行し、若年化する過程で女の時間に自らの年齢を重ねていく。2人は共に40歳代という人生の中間地点で、ようやくお互いを真っ当に愛し合えるようになる。それは短いが故に密度の濃い時間の流れであった。その後、ベンジャミンとデイジーは別離という運命を受け入れる。

ベンジャミンの物語をひとつの人生として考えれば普通と変わらないのではないか、という見方があるが、デイジーという常に身近に感じる他人の人生と重ねあわせると、やはり若返りという逆向きの人生というのは特異であると言わざるを得ないだろう。それは、ベンジャミンとデイジーの年輪の重なりにこそ、恋愛によって輝いている時間が短いというある種の人生訓的な観念を想起させる。
しかし、ベンジャミンとデイジーにとって、それは現実以外の何ものでもなかった。だから彼らは40代前半で意図的に出会い、愛し合い、別れる。そして、そこに永遠を確信する。
ベンジャミンとデイジーは「終わり」を現実として認識していた。長い人生があり、お互いが愛し合える短い時間がそこにしかないということを。。。恋愛について意図的であるということは、自らの人生に対して鳥瞰的であり、「私」を超えて、第三者的であることを意味する。この映画がファンタジーでありながら、本格小説の如き重みを備えるのはその視点故だと思う。
普段、僕らは人生が限定的であることを知ってはいても、そのことを意識から遠ざけて生きている。時の流れがあり、それに身を任せることにより、永遠という時間は常に遠ざかっている。

ベンジャミンとデイジーは永遠を確信する。
永遠はその瞬間にあり、瞬間は永遠に引き延ばされるから。
onomichiさん [映画館(字幕)] 9点(2009-03-18 20:16:51)(良:1票)
onomichi さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-03-05落下の解剖学8レビュー6.75点
2019-03-30寝ても覚めても10レビュー6.53点
2013-12-26ゼロ・グラビティ10レビュー7.63点
2013-01-29アルゴ10レビュー7.14点
2013-01-29鍵泥棒のメソッド10レビュー7.36点
2012-11-03ロック・オブ・エイジズ10レビュー6.60点
2012-08-27桐島、部活やめるってよ10レビュー7.18点
2012-07-23ブラス!8レビュー7.24点
2012-07-23ニール・ヤング/ハート・オブ・ゴールド ~孤独の旅路~9レビュー8.00点
2012-07-16おとなのけんか8レビュー6.73点
ベンジャミン・バトン/数奇な人生のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS