グラン・トリノ の onomichi さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ク行
 > グラン・トリノ
 > onomichiさんのレビュー
グラン・トリノ の onomichi さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 グラン・トリノ
製作国
上映時間117分
劇場公開日 2009-04-25
ジャンルドラマ,犯罪もの
レビュー情報
《ネタバレ》 「クリント・イーストウッド映画の集大成」と言われる。実際、集大成なのか、落とし前なのか、議論はあるかもしれないけど、この映画がイーストウッドの歴史の中に位置づけられ、その軸に沿ってこそ最大級に評価されているのは事実であろう。
確かに、イーストウッドの過去の作品のイメージ無しにこの映画を観ることはできない。『夕陽のガンマン』や『ダーティハリー』があり、『許されざる者』がいる。そういった俳優としての、或いは監督としての歴史の一連として作品が評価されるのは現代ではイーストウッド以外にいないとも思える。
作品が作者を排した一個のテキストとして評価されるべきと唱えられた時代があった。『グラン・トリノ』という映画はそんな作品論を易々と超える。作品とは個人を縛り、作品は個人に縛られる、それは作者であろうと、作品の受け手であろうと絶対的なもの、、、まぁ、そんなもんだろうと。

綿密に計算された「上手い」映画だと思う。だからこそ、ラストの驚きも自然な流れの中で観られる。そこにイーストウッドの歴史を見ればこそ、全ては腑に落ちるようだ。彼は、荒野の無頼漢であり、44マグナムを携えたタフガイだった時代の彼ではない。苦悩に満ちた「許されざる者」であり、アメリカという栄光と傷を見据えたオールドマンであり、自らの赦しを胸に刻み、新しい「光」の中に希望を見出すプレイヤーなのである。現代のアメリカの中で、ワイルドバンチはメランコリーの波間に消えたのだ。

やはり、この映画はイーストウッドの集大成的な映画なのだと僕は思う。だって、あんなラストはイーストウッド以外に考えられないじゃないか。
onomichiさん [映画館(字幕)] 10点(2009-04-29 19:48:51)(良:3票)
onomichi さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-03-05落下の解剖学8レビュー6.75点
2019-03-30寝ても覚めても10レビュー6.53点
2013-12-26ゼロ・グラビティ10レビュー7.63点
2013-01-29アルゴ10レビュー7.14点
2013-01-29鍵泥棒のメソッド10レビュー7.36点
2012-11-03ロック・オブ・エイジズ10レビュー6.60点
2012-08-27桐島、部活やめるってよ10レビュー7.18点
2012-07-23ブラス!8レビュー7.24点
2012-07-23ニール・ヤング/ハート・オブ・ゴールド ~孤独の旅路~9レビュー8.00点
2012-07-16おとなのけんか8レビュー6.73点
グラン・トリノのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS