ちはやふる 結び の 鉄腕麗人 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > チ行
 > ちはやふる 結び
 > 鉄腕麗人さんのレビュー
ちはやふる 結び の 鉄腕麗人 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ちはやふる 結び
製作国
上映時間127分
劇場公開日 2018-03-17
ジャンルドラマ,シリーズもの,青春もの,学園もの,漫画の映画化
レビュー情報
結論から言うと、この映画は、青春映画としても、スポ根映画としても、漫画の実写化作品としても、確固たる「傑作」として、文字通りに“結んでいる”。
既定路線的に若手俳優たちをキャスティングした人気漫画の映画化企画が乱立し、お世辞にも良作とは言い難い作品が並ぶ中において、今作(三部作)が築き上げたクオリティーとエモーションは、ちょっと奇跡的と言っていい。

この映画が成功した要因はいくつもあるが、先ず挙げられるのは「競技かるた」という競技に対する真摯な姿勢だろう。
ニュースの一トピックスとして名人・クイーン戦の模様を伝え聞いたことはあるけれど、いまひとつ一般的な馴染みの無いこの競技に対して、決して表面的な要素をなぞるのではなく、その本質に存在する文化的な歴史や価値、スポーツとしてのシビアさや奥深さまで、しっかりと表現することに挑んでいる。
無論それは、原作漫画自体がきっちりと踏んでいるアプローチなのだろうが、見た目の迫力や俳優たちの美麗さに依存するのではなく、「競技かるた」と「百人一首」が持つディープな世界観に踏み込んで見せたことが、この映画の質を上げたポイントだと思う。

そして、そういった映画的なアプローチに呼応した若い俳優たちがみな素晴らしかった。
広瀬すずのヒロインとしての存在感は三作目にしてもはや言わずもがなだろう。
主人公「綾瀬千早」の「天性」こそが、この物語の肝であり、それを映画の中のキャラクターに感じることができなければ立ち行かなかったことは明白だ。
広瀬すずは、文字通り頭のてっぺんから指の先、更にはその先の弾いたかるた札に至るまで、一挙手一投足の総てでその「天性」を演じきり、体現(=アクション)して見せている。
正直なところ、その主演女優の“アクション”を見ているだけで、この青春映画は成立しているとさえ思える。
その主演女優の存在感に負けず劣らず、周囲のキャラクターを演じた俳優たちもみな魅力的だったと思う。


この「結び」は、「上の句」「下の句」で描き出された「競技かるた」と「百人一首」の何たるかを根底に敷き詰め、更に人生を通じてこの「勝負」に傾倒する登場人物たちの人生観や、彼らの鋭敏な肌感覚まで引き出し、映し出していく。
そうして主人公たちの“視線”を通じて、物語を「未来」へと導いていく。
それはまさに「百人一首」という文化そのものが、千年に渡って連綿と継いできた真髄に他ならず、この作品に相応しい帰着だった。
鉄腕麗人さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2019-03-21 18:33:56)(良:1票)
鉄腕麗人 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-03-10アルキメデスの大戦8レビュー6.60点
2024-03-02アラジン(2019)7レビュー7.24点
2024-02-24マーベルズ6レビュー4.87点
2024-02-23別れる決心9レビュー8.66点
2024-02-12かがみの孤城6レビュー7.64点
2024-02-12インクレディブル・ファミリー5レビュー7.20点
2024-02-04テレフォン7レビュー5.37点
2024-02-03悪い奴ほどよく眠る8レビュー7.35点
2024-01-27哀れなるものたち10レビュー7.72点
2024-01-21ファイナル・カウントダウン7レビュー5.38点
ちはやふる 結びのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS