ぼくのエリ/200歳の少女 の 花守湖 さんのクチコミ・感想

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ぼくのエリ/200歳の少女 の 花守湖 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ぼくのエリ/200歳の少女
製作国スウェーデン
上映時間115分
劇場公開日 2010-07-10
ジャンルホラー,サスペンス,ファンタジー,ロマンス,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 邦題は低俗。しかし赤川次郎の吸血鬼美少女シリーズと同レベルだと侮ってはいけない。舞台はストックホルム。画面に映し出される風景は、雪、雪、雪。子役の吐く息は常に白く、銀世界はその美しさよりも、むしろ「人生」の厳酷を伝えるための隠喩となっている。子供であろうが大人であろうが、日本であろうが、ストックホルムだろうが、人生は誰にとっても辛くて厳しい。そして人間であろうが、吸血鬼であろうが、みんな生きるために必死なのだ。エリはとにかく生きたかった。ただし己が生きるためには誰かが死ななくてはいけないという宿命を背負った子だった。もしあなたたちだったら、殺人を犯すぐらいならば自殺の道を選択するだろうか?言っておくが私はエリの「業」を責めたいわけではない。エリよ、君はたしかこう言ったはずだ。ここを去って生き延びるか、残って死ぬか、2つに1つだと。つまり、好きな少年と一緒にいたいために捕まって殺されるのか、または少年と別れて町から出て行くのか、そのどちらかだと。私は嫌な予感がしたよ。愛のために死ぬ孤独なヴァンパイヤのラストシーンを脳内でイメージして途中で吐きそうになったよ。エリが捨て身であのガキを助けて、あのガキが「救ってくれてありがとうエリ。ボクは君のことを心の中で永遠に愛するよ♪」めでたしめでたし、なんて奇麗事をほざく茶番劇のラブストーリーだったら私は断じて許さなかった。だけどラストは違った。私にとってあのラストは、淡白ではあったが究極のハッピーエンドであったと思う。もちろん物語はそんなに浅くはない。エリは性別を超越した存在だ。しかも生き抜くために打算的な存在でもある。従ってエリの愛が真実だったのか偽物だったのか私には確信がもてない。しかし、あの血まみれのキス。私は泣いたよ。あれを見てどうして彼女が狡猾な生き物に見えるだろうか?原作とは違い、わざとガキの父親をゲイにしたあたり、監督は性別を超えた究極の愛を描きたかったのではないか?エリとガキ2人の結びつきは、マイノリティ同士の結びつきと見るか、愛とみるか、生きるための同盟とみるか、さまざまな見方ができる。さまざまな見方ができるからいい映画なのだ。その証拠としてレビューもさまざまな見方にあふれている。これは良い兆候だ。
花守湖さん [DVD(字幕)] 10点(2011-02-12 22:28:02)(良:2票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2016-08-16オデッセイ(2015)9レビュー6.82点
2015-10-12メイズ・ランナー8レビュー5.82点
2015-08-16マレフィセント10レビュー6.27点
2015-06-25ブルージャスミン0レビュー6.43点
2015-06-25ゴーン・ガール10レビュー6.87点
2015-01-04トランスフォーマー/ロストエイジ1レビュー5.42点
2014-11-09シュガー・ラッシュ9レビュー7.50点
2014-10-25チチを撮りに8レビュー6.76点
2014-10-18永遠の01レビュー6.27点
2014-10-05それでも夜は明ける9レビュー6.50点
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