コクリコ坂から の マーチェンカ さんのクチコミ・感想

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コクリコ坂から の マーチェンカ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 コクリコ坂から
製作国
上映時間91分
劇場公開日 2011-07-16
ジャンルドラマ,アニメ,青春もの,学園もの,ロマンス,漫画の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 大変爽やかな映画だと思いました。作中で発生する、とある(俊言うところの「メロドラマみたい」な)展開も、この爽やかな物語に起伏を持たせるためにはある意味相応しかったと、個人的には思います(以下原作未読でレビューします)。

僕自身はこの映画で描かれている時代を経験しているわけではありませんが、それだけに作中の風物や、あるいは登場人物の物の言い方なども、結構新鮮に見ることができました。

例えば作中、カルチエラタンの取り壊し反対のための討論集会の場面など、恐らく見る方の世代によっては「このシーンは学生運動を経過した頃の時代の空気を反映している」という風に受け取る方もいらっしゃるかと思います。僕も一応知識としては「そういうことがあった」という事を知ってはいますし、中にはそんな作中の描写を「単なる懐古趣味だ」と批判的に受け取る方もいらっしゃるかもしれません。

もちろんそういう意見を否定するつもりは全くありません。そしてそのシーンに対する、(知識としてしかそういう時代が存在したことを知らない)僕自身の感想を言えば、その集会のシーン全体からは、「我は我である」といった一癖ある人物たちが、何の屈託も無く自分の足場に立って自己の主張を展開し、また周囲もそんな曲者を「個人」として認め、その存在を許容しているという、何とも鷹揚な清々しさを感じました。それはまたあの印象的なカルチエラタンの個性的な住人たちが初めて紹介される一連のシーンでも感じたことでした。

こういう「楽天的な鷹揚さ」や、あるいは海と俊の爽やかな恋愛模様といった内容は、もしかしたら今のような時代に望むのは困難なものかもしれません。あるいはまた、上記一連のカルチエラタンのエピソードに代表される「屈託のない理想主義」といった内容は、実際にかつての1960年代の日本に(あるいは世界中、人類の歴史始まって以来延々と)人々から望まれ、あるいは挫折してしまった事柄かもしれません。

しかし過去に一度存在した(そして挫折してしまった)からと言って、「それを現代で望んでいけない」という決りは無いと思います。そして何より、過去に材を取ろうが、挫折をしていようが、「何かを望み、実現する」という様子を、どんな形であれ映像化し、またそれを目の当たりにするのは、いつの時代も変わらず心地よく、また感動的なのではないかと思います。

「自分自身宮崎駿作品のファンだった」と公言する吾朗監督だけに、端々に過去の宮崎駿作品へのオマージュと見られるシーンがありますが、そんなシーンの存在と、高校生の青春映画としての体裁、そしてスムーズな物語展開といった要素が相まって、僕はまるで一編のファンタジーを楽しむかのように、この別時代(別世界)の爽快な物語を楽しみました。
マーチェンカさん [映画館(邦画)] 9点(2011-07-24 16:43:02)(良:1票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2023-03-19シン・仮面ライダー8レビュー5.50点
2022-02-13ゴーストバスターズ/アフターライフ8レビュー5.80点
2018-12-13ボヘミアン・ラプソディ8レビュー7.38点
2018-02-07スター・ウォーズ/最後のジェダイ9レビュー5.79点
2016-12-25ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー8レビュー7.09点
2016-01-03スター・ウォーズ/フォースの覚醒8レビュー6.85点
2014-08-10思い出のマーニー9レビュー6.02点
2014-01-02劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語5レビュー5.61点
2013-11-24かぐや姫の物語10レビュー7.17点
2013-10-18じゃりン子チエ9レビュー7.75点
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