時計じかけのオレンジ の 夢の中 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ト行
 > 時計じかけのオレンジ
 > 夢の中さんのレビュー
時計じかけのオレンジ の 夢の中 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 時計じかけのオレンジ
製作国
上映時間136分
劇場公開日 1972-04-29
ジャンルドラマ,SF,犯罪もの,音楽もの,小説の映画化,バイオレンス
レビュー情報
《ネタバレ》 昨今が60年代ブームとはいえ、この作品のデザインセンスは素晴らしいですね。アレックスと3人の仲間達の白タイツにマワシはどうかと思ったけれど。暴力を楽しむ少年の一人称で語られる物語。この少年、何故にか嫉妬・悲しさ・虚栄心・惨めさは通常人と共通し、学があり、芸術に理解を示し、賢く、したたか。暴力に対する陶酔を除けば、観客が自らと同一化させるにはなんとも理想の主人公。愛着も湧いてくる。ともすれば、さて唯一の際立った特長である彼の暴力性はどの様に扱われるのかがこの映画のテーマ。暴力は社会秩序を乱し、排他されるべき存在。しかし、ソレが行政の暴力によって抑止される。牧師が言った「道徳の選択が出来るからこそ人間なのだ」はこの映画のメッセージの一つなのだと思う。ソレを気の弱いバカにされている牧師に語らせている辺りに、その言葉が余りに無力であることを示しているとも感じた。さて、主人公の暴力性は結局再び彼のモノとなる。社会秩序を乱す彼の暴力性ですら、この映画では政治的に利用される。彼は翻弄する側から翻弄される側になる。彼の暴力性は非難されるべきものではなくなり、全体主義の中ではたいした意味合いを持たない。ラストには「もどってよかったね!」と作り手側の声。アレックスは私達観客。だから観ての私も「よかった」と思う。そして、そして、そして?そして今後アレックスの暴力性はどう扱われる?物語は今後を持たない。ラストの「よかったね」のセックスシーンは既にリアルではなく舞台。だから今後は存在しないのだ。この映画は観客にアレックスという身を与えて夢を見させた気がする。観客が暴力性を持ち、それによって社会的にどういった報復を受けるかという夢を。なんとも不思議に、なんとも虚ろに。どこまでがアレックスの言葉でどこまでが私の言葉なのだか。なんというか、71年の作品ですか。丁度思想的な面でヒッピー文化の事を考えれば時代的にも今後を愁う社会風刺に感じます。とはいえ本当にキューブリックは凄いですね。他のどの作品とも一線を架しているのは変わらぬ事実だと思います。満点を献上させていただきます。
夢の中さん 10点(2003-12-10 03:53:07)(良:4票) (笑:1票)
夢の中 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2008-04-13フライトプラン4レビュー5.02点
2008-01-17パンズ・ラビリンス8レビュー6.95点
2007-01-15プラダを着た悪魔8レビュー6.68点
2005-10-17ロスト・イン・トランスレーション9レビュー5.79点
2005-10-04Mr.&Mrs. スミス7レビュー5.99点
2005-09-18ニュー・シネマ・パラダイス8レビュー8.38点
2005-09-16チャーリーとチョコレート工場9レビュー6.50点
2004-07-31下妻物語8レビュー7.33点
2004-07-31コール3レビュー4.86点
2004-07-31リベリオン9レビュー6.40点
時計じかけのオレンジのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS