ミスティック・リバー の まぶぜたろう さんのクチコミ・感想

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ミスティック・リバー の まぶぜたろう さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ミスティック・リバー
製作国,
上映時間138分
劇場公開日 2004-01-10
ジャンルドラマ,犯罪もの,ミステリー,刑事もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 イーストウッドが素晴らしいのは、この映画に描かれた人生のすべてを、感情のすべてを、肯定していること。「復讐」を賛美しているわけでも、「教育」の重要性を啓蒙しているわけでもなく、ただ、そこにある人生を受け止めること。
継娘を殺された女性は、夫が間違って友人を殺してしまったことに善悪の判断を求めず、ただこれからの家族の幸せを願う。「あなたはこの街の支配者だ」と。そしてその夫は、心の底で罪の意識を感じながらも、多分、彼女の言葉通りに幸せに暮らしていくに違いない。あるいは、自分の夫を殺された女性は、その犯人だと知りながら金を貰い、息子の幸福だけを願って、同じ小さな街で生き続けていくのだろう。
イーストウッドが提示した幾多の人生は、まさに圧倒的だ。色を抑えたコントラストの強い画面の中で、役者たちは完璧にイーストウッドによって統御される。その人物の動かし方(カフェテリアでショーン・ペンを尋問する際のローレンス・フィッシュバーン)、どこを切り取っても完璧な構図(ティム・ロビンズとマーシャ・ゲイ・ハーデンの階段の上下での切り返し)、カッティングの冴え(死体を発見したケビン・ベーコンのアップから階段を上がるショーン・ペンのロングへのつなぎ)、そして、酒屋の親父(イーライ・ウォーラックだ!)から人生を放棄したかのような母親まで、すべての人物の圧倒的な存在感。
そしてパレードが行われる。ある男の人生を狂わせた場所と、ここは同じ通りなのだろうか。華やかなパレードの中で、父を失った息子は、父親と同じように背を丸めじっとうつむいている。母親を発見し、やっと彼は微笑みを母に向ける。悲惨と絶望の中の唯一の救い。
生きていくことは残酷で哀しく、善も悪も正義も大きな流れの中に混在している、そしてふとした偶然からその多くが変わっていく。もしかしたら変えることが出来たのかもしれない。しかし眼前の人生は必然だ。この世界はパーフェクトではない、それでも、ただ受け入れ、生きていくしかないではないか。
まぶぜたろうさん 10点(2004-01-18 18:37:41)(良:10票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2013-08-23風立ちぬ(2013)10レビュー6.53点
2013-08-18美味しんぼ10レビュー4.33点
2012-10-03アイアン・スカイ10レビュー5.63点
2011-05-25アンノウン(2011)10レビュー5.78点
2011-04-21キラー・インサイド・ミー10レビュー5.40点
2011-04-16エンジェル ウォーズ0レビュー5.70点
2011-02-23ヒア アフター10レビュー6.65点
2011-02-20ザ・タウン10レビュー6.65点
2011-02-18白いリボン0レビュー6.00点
2011-02-17ソーシャル・ネットワーク10レビュー6.53点
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