ゴスフォード・パーク の veryautumn さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > コ行
 > ゴスフォード・パーク
 > veryautumnさんのレビュー
ゴスフォード・パーク の veryautumn さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ゴスフォード・パーク
製作国,,,
上映時間137分
劇場公開日 2002-10-26
ジャンルドラマ,コメディ,ミステリー
レビュー情報
《ネタバレ》 「神は細部に宿る」という言葉があるが、この映画はそんなふうに始まる。アルトマンいわく、様式とはすなわちディティールだ。戦前という貴族の光が消え去らんとしている時代、そこに生きる人間達もまた「様式」の中に生きていた。この映画では執拗にディティールが語られる。猟銃、自家製マーマレード、コンストラクト・ブリッジ、ゴシップ、カネ、色・・・どいつもこいつも紋切り型で杓子定規な人間ばかりで、個々の人間性よりもそういう「形」こそが「階級」であり、ひいてはミスター○○であり、ミセス○○なのだといわんばかりに。だから観る者が登場人物の区別がつかずに混乱するのも当たり前で、それはアルトマンの狙いにハマっている証拠なのである。しかし、そこにアメリカ人(新時代の隠喩)という異物が投入されたとき、そしてカントリーハウスの主人(旧時代の隠喩)が殺されたとき、登場人物それぞれの人間性がほのかに現れ始める。ヘレン・ミレンの号泣は、そのクライマックスで、このあたりになると、誰がどうなのかがハッキリ彩られて見えてくる(少なくとも私はそうだった)。私が思うにアルトマンは階級社会の崩壊と、それにともなう人間性の解放を描きたかったのではなかろうか。この映画を観れば、アルトマンがミステリ仕立てのストーリーなど重視していないことなど誰にでもわかる。だからそれをどうこう言うのは、それこそ野暮だろう。肝心なのは「人物の書き込み」でも「殺人事件の顛末」でもなく、「ディテールの積み重ねとその崩壊」なのだから。冒頭、強い雨のシーンから始まるが、ラストは快晴であったのがそのことを暗示していると、私は思ったのだがいかがだろうか?。雨にぬれた従順なメアリは旧時代の人間のありかたであったが、ラストでスターに軽やかに別れを告げ、女主人に痛烈な一撃をくらわすメアリの姿は、「様式=ディテール」に囚われずに生きることのできる、そんな新しい時代の到来を確かに予感させるのだ。
veryautumnさん 9点(2004-03-23 00:16:29)(良:1票) (笑:1票)
veryautumn さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2010-05-08第9地区9レビュー7.07点
2010-02-23ハゲタカ6レビュー5.46点
2010-02-23グラン・トリノ7レビュー7.87点
2009-02-17アフタースクール8レビュー7.20点
2009-02-15ぐるりのこと。9レビュー7.02点
2008-11-27ハッピーフライト(2008)7レビュー6.57点
2008-09-27おくりびと8レビュー7.03点
2008-08-08クライマーズ・ハイ(2008)8レビュー5.55点
2008-07-20アメリカン・ギャングスター7レビュー6.78点
2008-07-20インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国5レビュー5.86点
ゴスフォード・パークのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS