ヒストリー・オブ・バイオレンス の HIDUKI さんのクチコミ・感想

タイトル名	ヒストリー・オブ・バイオレンス
製作国	米,カナダ
上映時間	96分
劇場公開日	2006-03-11
ジャンル	ドラマ,サスペンス,犯罪もの,小説の映画化,漫画の映画化,バイオレンス

《ネタバレ》　この作品をどうとらえるかは、受け手に委ねられています。なぜジョーイはトムとして生まれ変わろうとしたのか、暴力に目覚めた息子の今後の学校生活は？信頼を失った家族の再生は可能なのか。劇中生じる疑問の答えを監督は用意していません。ただ、この多くを語らない手法は、私たちの想像力を刺激し、むしろ多くの「答え」を感じ取らせてくれるように思います。ラスト、団欒の場に戻ったトム＝ジョーイの姿に、救いと希望を感じつつ、同時に破滅も予感させる居心地の悪さ。見た目のグロテスクさはずいぶんと抑えられていますが、クローネンバーグ映画の尾を引くイヤラシサは健在です。また、わずかな目の動き、微妙な表情の変化で複雑なトムの人間性を表現するヴィゴの執拗なまでのアップは、ファンには眼福。繰り返し見るたびに新たな「答え」を発見する非常に懐の広い映画です。