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《ネタバレ》 ユーモアと知恵でもって争いごとを切り抜けていくライオネルと、己の腕力とタフさのみを頼りに生きているマックス。二人の生き方はいわば柔と剛、対照的であるがゆえにうまが合い、友情を深めていく。
ライオネルがマックスに良い影響を与えていたのは目に見えて明らかで、物語が展開するに連れてマックスはどんどん変わっていった。しかしラストに至り、実はライオネルにはマックスのようなタフさが欠けていたことがわかる。所詮案山子は案山子、おどけて戦いを避けるのは得意でも、ほんとうの試練にぶつかったときにはあっけなくへし折れてしまう。 次はマックスがライオネルを助ける番なのだろう。この映画はそこまでは描いていないけれど、あのラストシーンを観ればそうなることは明らかで、だからこそ暗い物語が嫌な後味を残していない。柔と剛、対照的な二つのタイプの強さはどちらも人生に不可欠なもので、ライオネルとマックスが一緒にいる限り、恐れるものは何もないはず――少なくとも、そう信じたいと思った。ラストに込められた幸福への願いが、忘れ難い余韻を残す。 脚本についてはまったく中だるみしていないと言えば嘘になる。けれどもだだっ広い荒地を男が歩いてくる冒頭と、空港の受付カウンターに靴の踵を打ち続けるラストカットは完璧で、それが作品全体を引き締めているように感じた。 【no one】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-01-04 14:04:02)(良:2票)
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