アメリカを売った男 の 六本木ソルジャー さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ア行
 > アメリカを売った男
 > 六本木ソルジャーさんのレビュー
アメリカを売った男 の 六本木ソルジャー さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 アメリカを売った男
製作国
上映時間110分
劇場公開日 2008-03-08
ジャンルドラマ,サスペンス,犯罪もの,政治もの,実話もの,スパイもの
レビュー情報
《ネタバレ》 実話ベースということもあり、サスペンスに比重を置かれた作品ではなく、ヒューマンドラマに重きをおかれている作品だ。
「アメリカを売った男」を“極悪人”というスタンスで一方的に切り付けるのではなく、珍しく犯人側の内面にスポットを当てているのが特徴だ。
明確な動機などが語られないのも、逆に好印象となっている。
人間の内面はそれほど単純なものではなく、簡単に割り切れるものではない。
一方では金銭や恨みのため、他方では愛国心ゆえに“組織を試す”という目的や、彼自身が何事でも“試してみたい”という性格もあったのだろう。
そういう人間の二面性について、本作ではきちんと描きこまれている。
一方では家族や孫を愛し、宗教を崇拝する敬虔の念が深い人間として描かれており、他方では家族、国を裏切る人間として描かれている。
また、一方ではパンツスーツの美しい女性に眼を奪われる同僚を諌めておきながら、他方ではジョーンズのDVDを愛好し、ストリップを好み、妻との関係もビデオに撮るような男だ。
彼には、人間の“闇”のようなものが垣間見られる。
若き捜査官もそういう人間の“闇”を覗き込むことで、“闇”に飲み込まれそうになったのではないか。
妻を愛しておきながら、妻を裏切るような行為をせざるを得なくなる。
様々な面で宗教や母を利用して、仲間であるはずの上司を監視せざるを得なくなる。
そして、監視している自分までも含めて、裏で監視されていることを知る。
FBIという職場にいる限りは、本当の自分ではなくて、偽りの自分を演じざるを得なくなると彼は気づいたように思われる。
自分も“闇”に落ちて、クーパー演じる男のように二面性をもつ男になってしまうのではないかと気づいたのではないか。
彼がFBIを退職するのも納得がいった。
クーパー演じる男は最後に「Pray for me」と呟いたが、彼は自ら落ちていったのではなくて、落ちざるを得なかったのかもしれないというラストで締めくくっている。
ある意味で、彼は真面目すぎたのかもしれない。
描きたいものは描かれており、内容もしっかりしていると思うが、どこか中途半端な印象も受ける。
面白い面にスポットを当てており、これが完璧に描かれていれば、最高の傑作となったのだが、深く掘り下げるわけではなく、残念ながら浅い部分を掘ったところで満足してしまったように思われる。
六本木ソルジャーさん [映画館(字幕)] 6点(2008-03-31 23:34:27)
六本木ソルジャー さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2011-05-14ブルーバレンタイン8レビュー6.87点
2011-05-09アンノウン(2011)6レビュー5.78点
2011-05-03塔の上のラプンツェル7レビュー7.50点
2011-05-03SOMEWHERE7レビュー6.69点
2011-05-03ブンミおじさんの森4レビュー5.07点
2011-04-23デュエリスト/決闘者8レビュー6.83点
2011-04-23戦場にかける橋6レビュー7.20点
2011-04-23勇気ある追跡6レビュー6.08点
2011-04-23エンジェル ウォーズ6レビュー5.70点
2011-04-23イリュージョニスト(2010)7レビュー6.92点
アメリカを売った男のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS