汚れなき抱擁 の もっつぁれら さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ケ行
 > 汚れなき抱擁
 > もっつぁれらさんのレビュー
汚れなき抱擁 の もっつぁれら さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 汚れなき抱擁
製作国
上映時間101分
ジャンルドラマ,ラブストーリー,モノクロ映画
レビュー情報
《ネタバレ》 最近の日本でも、性の不一致で離婚する夫婦が多いみたいですが、約50年前のこの映画のストーリーはそれとはひと味違った模様。
特にこの映画の中ではっきりと出ていたのが、宗教的な観点による性に対する考え方でしょう。
結婚後の夫婦間における性交渉は神聖なものであってそれを行わないのは罪である、とは劇中の教会の言い分。
この映画の中では出てきませんが、もし仮にこの二人が婚前に関係を持ったりすれば、たとえどんなに愛し合っていようともそれは罪になってしまうのだろう。行われる行為に変わりはないけども、ここで宗教観なり道徳観なりが顔を出してくるわけで、それによってその行為の善悪が振り分けられるところが面白いといえば面白い。
この映画の中では、アントニオは神を冒涜したということになるわけですが、見ての通り故意的なものはなく、それどころか、愛しすぎていたがために起きてしまった悲劇というところが、何ともいえず辛い。
最後のアントニオの表情は、もし自分がその場にいたらとても声なんて掛けられなくなってしまいそうで、鏡越しでないと見れないくらいです。
この、鏡越しにというのがミソで、アントニオの寂しげな背中とうつむいた表情をワンカットで同時に見せていて、しかも、このワンカットだけでも光源の位置や光量に色々と変化をつけながら撮っているところが凄くおしゃれ。
他にも演出面ですと、使用人の女が床に倒れ父親は誰なのかと一人一人名前を挙げ終わったタイミングで背後にアントニオが現れるところとか、親父が電話で息子に真相を聞くシーンのカットバックとか、上手いなぁと思う箇所が他にも色々ありました。
途中、子供の問題に親が介入してきたところで冷めてしまいましたが、評価を下げる程ではなかったです。
宗教も結婚という制度も人間が作ったものですが、この二つについて色々と考えさせられる映画だなと思いました。
もっつぁれらさん [ビデオ(字幕)] 7点(2010-01-23 11:34:19)
もっつぁれら さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2022-10-14パリは燃えているか6レビュー6.22点
2022-10-07アデルの恋の物語7レビュー6.76点
2022-10-05ベルモンドの怪盗二十面相6レビュー5.80点
2022-10-03パリ警視J6レビュー5.55点
2022-09-27冬の猿7レビュー6.37点
2022-09-24勝負をつけろ7レビュー6.00点
2022-09-22華麗なる大泥棒8レビュー7.33点
2022-09-19ラ・スクムーン5レビュー7.10点
2022-09-18プロフェッショナル(1981)7レビュー7.33点
2022-09-14警部5レビュー5.50点
汚れなき抱擁のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS