ペーパー・ムーン の もりたろう さんのクチコミ・感想

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ペーパー・ムーン の もりたろう さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ペーパー・ムーン
製作国
上映時間103分
劇場公開日 1974-03-09
ジャンルドラマ,コメディ,モノクロ映画,犯罪もの,小説の映画化,ロードムービー
レビュー情報
《ネタバレ》 ◆この映画の一番いいところは、トリクシーの存在だとおもいます。詐欺師のモーゼは歳の大きく離れた少女のアディをビジネスパートナーとみなし、アディはモーゼをお父さんとも恋人ともつかない存在とみなす。その微妙な二人の関係がこの映画の面白さの根底にあり、そしてその関係がもっとも活きたのが、あまり美人でもないし、かといって魅力が無いともいえないトリクシーさんの存在なのだと思うのです。
◆モーゼは遊園地(?)で出会ったダンサーのトリクシーに尽くし、アディの特等席だった車の助手席にも彼女を座らせる、アディはそれにやきもちをやいて「あの乳牛をおろさなければ車に乗らない」と反抗する。そんな、むくれて一人で座っているアディを説得するためにトリクシーがやってくる。僕はここのシーンがとても好きなのです。
◆まず、トリクシーはむっつり顔のアディに建前で説得する。ところがアディは黙ったままだ。頭にきたトリクシーは車に戻ろうとするが思いとどまり、観念して自分の本音を語りだす。「今まで私は男と長く続いたことが無いの、だからほんの少し、デカパイのトリクシーを前に乗せて」・・・それを聞いたアディは少し微笑んで一緒に車に戻っていく。
◆このシーンでは、モーゼとアディの奇妙な関係無くして、アディは微笑まないと思うんです。仮に微笑んだとしてもそれはありがちな、アディがモーゼを父親だと思っていて、トリクシーを「お母さんとして認める」というシーンになると思うのです。しかしそれでは押し付けがましいホームドラマにしかならないでしょう。そうではなくてアディはモーゼを父親とも恋人ともとれない複雑な気持ちで見ていた。だからこそアディはここで彼女を、いったん母親でも恋敵でもなく、自分に悩みを話してくれた人間として受け入れるのです。だからそれを示すために、少し笑った。
◆僕は、一瞬ですが、年齢も、立場も、とっぱらって一人の人間を受け入れる、優しさに満ちたこのシーンが好きです。
◆そんな広大なアメリカの土地の中で慎ましやかに人間関係が結ばれる映画ですが、トリクシーさんと別れて以降、乗り換えたトラックのようにストーリーが減速していったので、その分を引いて7点をつけたいと思います。
もりたろうさん [DVD(字幕)] 7点(2005-11-05 21:36:45)
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投稿日付邦題コメント平均点
2012-11-15ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破9レビュー7.06点
2012-07-30おおかみこどもの雨と雪10レビュー6.40点
2012-02-18ペイ・フォワード/可能の王国7レビュー5.95点
2011-12-05恋の罪9レビュー5.51点
2011-10-01鉄コン筋クリート9レビュー6.41点
2011-08-17カーズ9レビュー6.89点
2011-07-21コクリコ坂から4レビュー5.70点
2011-03-03ロンゲスト・ヤード(1974)10レビュー7.12点
2011-02-14あしたのジョー(2010)4レビュー5.40点
2010-10-06ショーガール10レビュー5.52点
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