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《ネタバレ》 とにもかくにも息子を強く強く想う母の姿が胸を打ちます。たとえ相手が敵意むき出しの高圧的態度で迫ってきても、この母親は温厚で保守的であり反撃に転じませんし、悲しくても辛くても嬉しくてもボロボロ涙して泣くのですが(化粧が濃いのが良い)、どんな目に会っても決して挫けずメチャメチャ強いのです。この強さの原動力がアメリカ人の好むような不正に対する正義感からくるのではなく、母の子を想う一途な愛からきているのが良いです。最後に母親と犯人が面会するシーンがあるのですが、薄暗い部屋でアンジーの顔に光が当りまるで聖母のようになります。ところが息子の話が聞けないと一転し、非暴力的な彼女が犯人に対してはじめて手を上げるのです。しかし彼女が怒るのは犯人に対する怒りからではなく息子の生存を信じ、確認したいからであり、この映画が素晴らしいのはまさにそこの所で、最後の瞬間まで一貫してどこまでも息子を想う母の愛を描ききっているから美しいのだと思います。その証拠に正義を代表し大勢を引き連れて闘う牧師ジョン・マルコヴィッチにしっかりと焦点があたるのは、闘う時ではなく母親に警察の悪徳ぶりを教授する時だけなのです。
【ミスター・グレイ】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-02-24 18:23:21)(良:3票)
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