ミリオンダラー・ベイビー の パブロン中毒 さんのクチコミ・感想

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ミリオンダラー・ベイビー の パブロン中毒 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ミリオンダラー・ベイビー
製作国
上映時間133分
劇場公開日 2005-05-28
ジャンルドラマ,スポーツもの,スポコンもの
レビュー情報
《ネタバレ》 「太く短く生きる事にも価値がある」?それは表のストーリーだ。裏のストーリーとは、おおざっぱに言うと、クリント演じるフランキーが「神様の真似事」をしている話だ。「えせ神様」フランキーに対し、「人間」マギー。神様フランキーは、「マギーが頑固で思い通りにならない」などとぼやいてみせるが、それどころかマギーはいたって忠実で彼を崇め、ほかのマネージャーに見向きもしない。全くフランキーの思い通りではないか。そんな何も落ち度のない彼女に作品の創造主は唐突に罰を与える。「これ以上は進ませない。」という意思を示す。これは何か。私には、「女の役割を引き受けなかった罰」、「男の世界に踏み込んできた罰」に思える。なぜ男性ボクサーを育てる話ではいけなかったのか?なぜ「ボクシング」でなければいけなかったのか?水泳とか陸上ではダメなのか?これは、「殴り合う」という「自分の娘にはやってほしくない」ような世界でなければならなかったのだ。ミリオンダラーを稼ぎまくって、喜ぶボクサーとその家族、というのは、「ロッキー」では可能だが、女がそれをやるとコメディとしてでないと成立しない、ということだ。だから、マギーがタイトルを取ってフランキーと共に喜ぶラストなどはあり得ないのだ。それだと「神様フランキー」は単なる「応援者」に成り下がってしまう。クリントの言いたいことはこうだ。「俺の考え方は確かに古いけど、闘う男に応援する女、結局これが一番いい形だと思ってるんだ。みんなもそう思わないか。」終盤でフランキーをはさんで「神父」と「怖がらない人間エディー」両方のアドバイスが示される。ここで例の「太く短く」理論が出てくるわけだが、これはもちろんフランキーが「えせ神様」として彼女に死を与える言い訳にしか聞こえぬ。べつに「一生床掃除」をしていても、不幸だったかどうかは本人にしか分からないじゃん。これは「神様の真似」をするための言い訳としては苦しすぎるな。全編通して見終わって、「どうもメッセージがはっきりしない」「太く短く生きられてよかったねと言いたかっただけなの?」というもやもや感が残るのは、このような裏のストーリー、裏メッセージと同時進行させているからである。「女でもボクサーになったっていいじゃないか」という賛歌では全然なく、その反対である。 このあたりの事は、いずれ小倉千加子か橋本治あたりが論破するに違いない。
パブロン中毒さん [DVD(字幕)] 5点(2006-01-14 23:23:47)(良:1票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2012-06-13オアシス8レビュー7.36点
2012-05-20フィリップ、きみを愛してる!8レビュー5.88点
2012-05-20瞳の奥の秘密7レビュー7.30点
2012-05-13渇き(2009)8レビュー6.35点
2012-05-05プレシャス8レビュー5.66点
2012-04-10シェルター5レビュー4.42点
2012-04-06人生万歳!7レビュー6.75点
2012-01-15ブエノスアイレス9レビュー5.84点
2012-01-03ハンサム★スーツ5レビュー5.95点
2011-12-19リダクテッド 真実の価値5レビュー5.94点
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