マーズ・アタック! の 枕流 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > マ行
 > マーズ・アタック!
 > 枕流さんのレビュー
マーズ・アタック! の 枕流 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 マーズ・アタック!
製作国
上映時間105分
劇場公開日 1997-03-20
ジャンルSF,コメディ,パニックもの,パロディ
レビュー情報
《ネタバレ》 この映画はティム・バートン監督を好きか嫌いかの試金石になる映画だと思う。で、僕はこの映画が大好きなのだ。
良い意味でも悪い意味でも、この映画をB(C?)級映画と表現する人は多い。しかし、それに対しては、僕は明確に異を唱えたい。この映画のチープさや荒唐無稽なあらすじは既存のB級SF映画へのオマージュであると同時に、人間社会に対する痛烈な皮肉であり、諷刺であるからだ。この映画で監督が訴えたかったことは「愛」や「勇気」や「優しさ」の大切さといった非常に普遍的な「価値」である。そういう意味でこの映画がB級と評されることはあってはならないと僕は思う。彼は既存のB級映画のスタイルを単に「借りた」だけなのだ。
さて、この映画で、彼は自らの信念や道徳観をあからさまに開示しており、異論を一切差し挟ませない。この映画で生き残る人間は彼のお眼鏡にかなった人々だけだ。見栄やカネ、権力に固執する人間は死に絶え、先ほど挙げた愛や勇気を持つ人々は救われる。火星人のやり口は悪辣の限りであり、それはコミカルであると同時に禍々しいが、最終的に彼らは全滅してしまう。火星人との戦争の過程は清清しいほどに確信犯的ご都合主義で描かれる。彼が後に映画化するロアルド・ダール原作である「チャーリーとチョコレート工場」とこの作品は、徹底的に作者の価値観に基づいてストーリーが進行するという部分が実によく似ている。この作品はティム・バートン監督が初心に戻って制作した大人向けの童話なのだ。そのストレートな物言いに僕は感激する。一方で、近年の彼の制作スタンスとこの作品を比較すると、少しさびしい気持ちになるのもまた事実だ。
枕流さん [DVD(字幕)] 9点(2011-11-26 20:48:00)(良:1票)
枕流 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2013-04-18アウトロー(2012)6レビュー6.19点
人生の特等席5レビュー6.40点
2013-04-12シュガー・ラッシュ7レビュー7.50点
2013-03-31ザ・マスター6レビュー6.42点
2013-03-30ムーンライズ・キングダム6レビュー5.55点
2013-03-12世界にひとつのプレイブック7レビュー6.47点
2013-03-03ジャンゴ 繋がれざる者6レビュー7.19点
2013-02-21ゼロ・ダーク・サーティ8レビュー6.83点
2013-02-21フロスト×ニクソン6レビュー6.82点
2013-01-31トゥルー・グリット8レビュー6.70点
マーズ・アタック!のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS