アリス・イン・ワンダーランド の なんのかんの さんのクチコミ・感想

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アリス・イン・ワンダーランド の なんのかんの さんのクチコミ・感想
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《ネタバレ》 ファンタジーに登場する小人とか巨人てのは、だいたい何倍もの差があったのに、ここでのアリスと帽子屋や白の女王の場なんかは二倍に至らない一点何倍かの差。これが面白い。この中途半端な「縮尺」が新鮮。完全なファンタジー的造形物より、そういった微妙に異常なものが、こちらを刺激してくる。だから一番印象に残るのは赤の女王の頭で、この映画に価値があるとするなら、彼女によってだ。あと、彼女に処刑されることになる蛙の番兵の表情なんかもよかったな。それも完全な作り物ではなく、リアルな蛙だから映えた。そういった半リアル造形物だけで「アリス」を作ったら楽しかっただろうに、ハリウッドではファンタジーは冒険物語にしないといけないらしく、ラストではアリスがジャンヌ・ダルクよろしく活劇を展開するのには予想されたとは言え、がっかりした。何でも善と悪の争いにしないと気がすまないらしい。そこで目覚めたアリスが、リアルな世界に戻って東洋への経済侵略の尖兵となっていくという結末は、どう見ればいいのだろう。ブラック・ジョークとしては優れているが、どうもそれほどひねっているようでなく、歴史への無知・無恥ゆえの無邪気さのよう。あのなんでも「善と悪」にしないとすまない性向と、どこかでつながっているような。年表で確認したが、「アリス」が書かれたのは阿片戦争が終わって二十数年後だった。20世紀文学を予告した小説ではあるが、それを生んだのが19世紀帝国主義の暴風の中だったことを、この映画のラストは思い返させてはくれた。
なんのかんのさん [DVD(字幕)] 6点(2011-02-27 12:21:38)
なんのかんの さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2014-03-15エデンの東(1955)8レビュー7.25点
2014-03-14アゲイン/明日への誓い6レビュー5.22点
2014-03-13オリバー!7レビュー6.08点
2014-03-12世界の中心で、愛をさけぶ6レビュー5.27点
2014-03-11真珠の耳飾りの少女6レビュー6.33点
2014-03-10ゴースト/ニューヨークの幻7レビュー7.02点
2014-03-09EMMA/エマ(1988)6レビュー6.00点
2014-03-08稲村ジェーン4レビュー2.43点
2014-03-07つぐみ5レビュー4.96点
2014-03-06ボイス・オブ・ムーン6レビュー5.25点
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