人生はビギナーズ の Balrog さんのクチコミ・感想

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人生はビギナーズ の Balrog さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 人生はビギナーズ
製作国
上映時間105分
劇場公開日 2012-02-04
ジャンルドラマ,ロマンス
レビュー情報
《ネタバレ》 前作サムサッカーと非常によく似た映画。ユアンは、アイデンティティにずっと不安を感じていたが、それが表面化することはなかった。それは父親がゲイだというカミングアウトをしてからも同じである。しかしそれが表面化し、彼の深い悩み、悲しみに変わったのは、父親の死からである。元から不安を感じながらも父親の存在でかろうじてつなぎとめられてきた自らの存在がぷっつり切れたような感覚だったのだろう。父が死んでから、折に触れて彼は両親のことを思い出し、回想する。しかし「なぜ」彼がアイデンティティを確立できないのかは自覚できていない。これが自覚されるのはメラニーロラン演じるアナと出会ってからである。彼女は彼と似たもの同士で、つまり彼女もなぜ自分が自分であることに自信が持てないかを理解していなかったが、彼と会ってからそれが段々と分かるようになるのである。特に彼女は「空白」が象徴的で、それに段々と気付くのが重要なのである。彼もそんな彼女に触発され、どんどん両親と自分の思い出、父親と恋人の思い出を思い返すうちに、幼い頃に感じた様々な疑問、印象的な光景を思い出し、つなぎ合わせ、現在と照らし合わせるうちに、自らがどのような人間かを自覚するに至るのである(アメリカの歴史、両親の歴史、落書きの際の「歴史意識」なるものに彼がこだわっていたことを思い出す必要がある)。もちろんそれは簡単に言葉に表せるものではないが、しっかりと「思い出す」ことが重要なのだということを我々に知らせてくれる。それは恐らく抑圧してきた記憶なのだろう。あるいは彼自身がポジティブな意味で作り出したものなのかもしれない。
Balrogさん [DVD(字幕)] 7点(2013-09-02 23:19:44)
Balrog さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2014-08-18ドッペルゲンガー8レビュー5.70点
2014-07-15ラ・パロマ10レビュー10.00点
2014-01-17Seventh Code9レビュー4.85点
2013-09-29そして父になる6レビュー7.10点
2013-09-21007/スカイフォール7レビュー6.50点
2013-09-16わたしはロランス8レビュー7.42点
2013-09-16アワーミュージック7レビュー7.40点
2013-09-14許されざる者(2013)4レビュー5.48点
2013-09-10オン・ザ・ロード(2012)6レビュー6.00点
2013-09-08サイド・エフェクト7レビュー6.94点
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