戦場からの脱出 の よしのぶ さんのクチコミ・感想

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戦場からの脱出 の よしのぶ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 戦場からの脱出
製作国
上映時間125分
ジャンルアクション,ドラマ,サスペンス,戦争もの,実話もの
レビュー情報
《ネタバレ》 ベトナム戦争時、ラオスに不時着して捕虜になった爆撃機操縦士が、収容所を脱走して、密林で辛酸を舐めながら奇跡的に帰還を果たす物語。一筋縄ではいかない、どこか奇妙な味わいの映画だ。捕虜となったディーターは虐待を受けるが、さほど凄惨ではない。収容所で仲間と出会ってから奇妙な雰囲気が漂い始める。滑稽味が加わるのだ。妄想に取りつかれ、間もなく開放されると主張し、脱走に反対するジーン。毎夜、寝便をするドウェイン。いつもらりっているようで、真剣さが伺えない。ディーターも変った人物で、薄ら笑いが多く、楽観主義で、妙に明るいのだ。家族や婚約者の話はほどんどせず、いかに自分が飛行機が好きになったか、飛行機のどこが素晴らしいかという話を恍惚の表情で長々とする。飛行機に憑りつかれた男だ。説明不足の部分もある。脱走決行の日、二つのグループに別れて看守を急襲する計画だったのに、ジーンらのグループが現れないのだ。ディーターとドウェインだけで看守を片付け、脱走するとジーン等が待っていた。どう調達したのか知らないが靴を履いて。話が噛みあわないまま、早々に別れて、それっきりジーン等は登場しない。後半は密林での逃避行となるが、ここからは生存をかけた悲壮な展開となる。ドウェインは遭遇した村人に殺され、ディーターは飢餓に苦しんで蛇を生で食べたり、味方のヘリから機銃掃射を受けたりする。ようやくヘリに救助され、基地に帰還を果たし、英雄として迎えられるが、そこで終らない。ディーターは秘密任務についていたとして、身柄は情報局に預けられ、毎日尋問責めにあう。それに同情した同僚が彼を情報局から連れ出し、仲間達の元へ連れ帰る。一見痛快のようだが、詳細が不明なのでどう反応してよいか分らない。映画の視点が動くのだ。主人公の精神力の強さは伝わるものの、反戦の声明は伝わらない。ベトナム人の描き方も画一的で尊重されていない。短所を端的に言えば、主人公が英雄として描かれていないことだ。奇妙な人間が、偶然に助けられて捕虜収容所から生還を果たしたという話で終っている。人物の掘り下げや反戦思想は盛り込まれていない。英雄を英雄らしく描くのが王道だが、監督には別の狙いがあったのだろう。それが伝わらず、米国での興行成績は惨敗し、日本では公開されなかった。渾身の演技は見応えがあった。力量ある監督だけに残念である。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 7点(2014-12-04 02:03:20)
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投稿日付邦題コメント平均点
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