現金に体を張れ の よしのぶ さんのクチコミ・感想

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現金に体を張れ の よしのぶ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 現金に体を張れ
製作国
上映時間85分
劇場公開日 1957-12-10
ジャンルサスペンス,モノクロ映画,犯罪もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 大胆不適な競馬場強盗事件を扱った犯罪映画。刑務所を出所したばかりのジョニーは昔の仲間を集め、一発逆転を狙った強盗を策謀する。仲間は、内通者であるバーテンダーと馬券窓口係、競馬場を警備する警察官、それに資金提供者。他に馬の射撃手と暴れ役を雇う。周到に準備された計画は完璧の筈だった。しかし、初期の段階で窓口係が妻に計画の一部を漏らしたことから計画は綻びを見せ始める。これで視聴者は、どのような計画か、どのように破綻するか、という二重の緊迫感を持って見守ることになる。憎い演出。着々と進めらていく準備の様子が丹念に描かれていく。同時進行している事象は時間を繰り返すという丁寧さだ。人物の性格描写を最小限にしているのでとんとん拍子に進む。といって人物描写に手抜きはない。ジョニーは服役中も待っていてくれた恋人との結婚を決意している。バーテンダーには病気の妻がいる。窓口係は浮気性な妻をお金でつなぎとめようとしている。警官は借金で首が回らない。資金提供者はジョニーの境遇に同情している。射撃手も暴れ役もそ金が欲しい事情がある。根っからの悪人はおらず、ある程度の同情が得られる設定で、視聴者はいつしか計画の成功を願うようになる。計画の破綻がほんの数秒で処理されるという斬新さ。銃声の後の動かない死体の山。映画史上に残る名場面だ。重傷を負った窓口係は、自宅までたどり着き、裏切り者の妻に弾を撃ちこんで力尽きる。現金を持ったジョニーは飛行機で高跳びを図るが、偶然居合わせた犬のある行動によって、総てが烏有に帰す。大量の札束が風に飛ばされる画は鮮烈だ。逮捕を想像させて了る最終場面も心憎い。滅びの美学がある。敗因は、計画が狂って、大金を運ばなければならなくなったこと。目立たない中古鞄を買ったが、鍵が壊れていた。不運である。馬を撃たせたのは、観客と警備員の注意を逸らすためである。暴れ役の人の良さと暴れっぷりの格差がよい。射撃手は本当に傷痍軍人という設定にした方がよかった。お守りの蹄鉄で車がパンクして射殺されるという皮肉もよい。残念なのはジョニーの恋人の登場が少ないこと。彼は恋人との結婚の為に一世一代の賭けに出た。二人の感情をより盛り込んだ内容にすれば、最後の場面はずっと衝撃的なものに映っただろう。実際、窓口係の夫婦の感情描写は十分にできているのである。淡々とし過ぎるきらいがあるが、傑作だ。
よしのぶさん [DVD(字幕)] 9点(2015-01-17 00:27:57)
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投稿日付邦題コメント平均点
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