ツィゴイネルワイゼン の よしのぶ さんのクチコミ・感想

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ツィゴイネルワイゼン の よしのぶ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ツィゴイネルワイゼン
製作国
上映時間145分
劇場公開日 1980-04-01
ジャンルドラマ,ホラー,ミステリー,音楽もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 繰り返し現れる記号を元に解読してみます。①骨。骨=美と死の象徴。中砂は、赤い骨の話をした芸者小稲の美しい骨格を愛する。妻園も小稲そっくり。青地と先に死んだ方が骨を与える約束をする。中砂は死の観念に取り付かれている。②不幸。中砂に捨てられ溺れ死んだ女。盲目の門付け、肺病の夫をもつ女、弟が自殺した小稲、死の床にある青地の義妹。精神に安らぎのない中砂も不幸。③熟れる。死の一歩手前の状態。中砂はその時が最も美しいと感じる。青地の妻周子が”熟れた”花の花粉で”熟れる”と抱く。抱かれた周子は以前は食べなかった熟れた桃が好きになる。こんにゃくも、周子の舌も”熟れて”いる。桜が満開に”熟れた”下で、中砂は自殺する。最も美しいときに死にたいという美学。④三角関係。門付けの三人組。この人間関係が二転、三転する。中砂と青地と小稲。中砂と青地と園。中砂と青地と周子。周子の妹の妙子と青地と中砂。中砂の娘豊子と園と小稲。人間関係はつねに三角関係。人生の象徴であり、不幸の原因でもある。⑤トンネル。これは異界への入口。何度も繰り返し出てくる。中砂の家へは切り通しを通らないと行けない。中砂=異界といってもいいほどで、不思議なことは全て彼を通して起る。⑥幻聴。ツィゴイネルワイゼンの聞き取れない言葉が発端。生きていることの違和感、住み難さの象徴であり、死への入口でもある。最後レコードが鳴っているときの青地の言葉は聞こえなくなる。死の世界へ同化してしまったから。⑦類似性。小稲と園がそっくり。門付けの三人組と子供の門付け三人組も類似している。妙子は生死を彷徨いつつ、現実か幻覚かわからない話をする。この妙子がこの映画の世界観と類似。青地と中砂は合わせ鏡の関係。⑧交換。中砂は青地に妻を取り替えようと提案。又先に死んだ方が骨を与えようと言う。生と死、この世とあの世は交換可能。⑨食事。生の象徴で、何度も登場する。葬式など死を連想する場面には必ず食事シーンが出る。生を強調することにより、逆に死を強調している。⑩あの世。ラストの豊子の足跡は六文銭で、これは三途の川の渡し賃。死んだのは中砂ではなく、青地の方だった。逆もまた真実。何故ならこの世とあの世は交換可能だから。主題は「この世に確かなものは何もなく、生と死の区別でさえも曖昧である」ということ。そして「その曖昧さこそが生きていることの証しでもある」。
よしのぶさん [ビデオ(邦画)] 8点(2009-10-13 17:56:08)(良:1票)
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投稿日付邦題コメント平均点
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2015-02-16死霊の盆踊り3レビュー0.76点
2015-02-11ゼロ・グラビティ9レビュー7.63点
2015-02-09パシフィック・リム10レビュー6.88点
2015-02-08エベレスト 若きクライマーの挑戦<TVM>5レビュー4.80点
2015-02-0717歳のカルテ7レビュー6.99点
2015-02-07噂の女7レビュー7.30点
2015-02-06華麗なる激情7レビュー6.00点
2015-02-06影の車6レビュー7.00点
2015-02-05第9地区8レビュー7.07点
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