下妻物語 の よしのぶ さんのクチコミ・感想

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下妻物語 の よしのぶ さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 下妻物語
製作国
上映時間102分
劇場公開日 2004-05-29
ジャンルドラマ,コメディ,青春もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 とても勢いのある作品。前半は漫画チック、後半は劇画調。発色のよいフィルムを使って、ポップ調に統一している。B級コメディ路線狙いが見事に成功。お馬鹿映画に見えるが、内容は深い。「星の王子様」と同じテーマ。桃子は、不幸な家庭環境が影響し、現実を拒絶している。牛の糞のある田舎町を受け入れず、18世紀のロココの時代に生きる空想ばかりを抱く。生きがいは、ロリータファッション。服が心の鎧となっている。現実を生きていないため、常に孤独で、友達もいない。感情も停止させているので、孤独さえも感じない。重症である。そこへレディースのイチゴ登場。彼女は過保護すぎた家庭環境のせいでいじめに遭い、それから抜け出すためにレディースに入った。一皮剥けたのである。イチゴは自分をぶつけてくる。好きな服には感心し、先輩のために刺繍を入れたいと願い、バイトもするし、将来の設計もあり、失恋もする。現実に生きて、悩み、もがいているのだ。二人に共通なのは孤独。桃子は離れようとするが、特殊能力が友情のきっかけに。パチンコである。ここはご都合主義だが、もう一つの特殊能力、刺繍に目覚めてから桃子は変わる。イチゴのために刺繍をしたいと願うのだ。初めて自分から他人との関わりを願ったのだ。それはイチゴの「他人のために何かしたい」という無垢な心が伝わったから。そして服の会社から刺繍の依頼。初めて社会との接点ができたのだ。他者から必要とされることで、不安を覚えならがも自我に目覚めてゆく。不安は刺繍するときに出る汗で表現されています。そんな桃子に感応して、自己中心的だった社長も仕事より友情を選べといってくれます。途中で事故に遭うが、このとき桃子は生まれて初めて「生きたい」と心から願った。イチゴを助けるために。神に願いは届き、再び立って歩き出す。再生した桃子だ。あとは怒涛の展開。心の鎧であった服は泥にまみれる。生きるとは泥にまみれること。啖呵は初めての感情の発露。関西弁が出たのは、不幸な子供時代を受け入れたということ。ウソがすらすら出たのは、現実で生きるための直感と知恵が備わり始めたということ。現実逃避の少女が、友情をきっかけに現実を受け入れ、真の自分らしさとは何かを探し始めるというテーマに貫かれています。スカッとする映画です。最初に事故のシーンを出して驚かすのもうまい。女優二人の体当たりの演技も光ります。
よしのぶさん [DVD(邦画)] 9点(2009-04-19 07:50:27)(良:4票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2015-02-198レビュー6.62点
2015-02-16死霊の盆踊り3レビュー0.76点
2015-02-11ゼロ・グラビティ9レビュー7.63点
2015-02-09パシフィック・リム10レビュー6.88点
2015-02-08エベレスト 若きクライマーの挑戦<TVM>5レビュー4.80点
2015-02-0717歳のカルテ7レビュー6.99点
2015-02-07噂の女7レビュー7.30点
2015-02-06華麗なる激情7レビュー6.00点
2015-02-06影の車6レビュー7.00点
2015-02-05第9地区8レビュー7.07点
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