激戦ダンケルク の S&S さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ケ行
 > 激戦ダンケルク
 > S&Sさんのレビュー
激戦ダンケルク の S&S さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 激戦ダンケルク
製作国
上映時間135分
劇場公開日 1958-08-09
ジャンル戦争もの,モノクロ映画,歴史もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 クリストファー・ノーラン作品で有名なダンケルク撤退戦、この戦いをテーマにした映画はノーラン版を含めて三本ありますが、本作がいちばん古いわけです。プロデューサーはマイケル・バルコン、アレック・ギネスが主演したコメディを当時量産していたイーリング・スタジオの総帥です。言ってみれば大作戦争映画を撮るのにはどう考えても不慣れな撮影所なわけで、それは作品の出来に少なからぬ影響を与えているようです。 物語はナチ・ドイツがオランダ・ベルギー・フランスに侵攻する前のいわゆる“ファニー・ウォー”の時分からスタートします。憂国の士である新聞記者のバーナード・リー(初期007のⅯ役で有名)と小市民的な価値観を持つ自動車修理工場のオーナーであるリチャード・アッテンボロー、そしてフランス駐在の英国派遣軍の伍長ジョン・ミルズの三人が主要キャラです。民間人の二人は一応ご近所で顔見知りですがミルズとはもちろん面識はなく、同時進行でこの三人の物語が語られてゆきます。ミルズ伍長の率いる分隊は本隊からはぐれドイツ軍の追撃を必死にかわしながらダンケルクにたどり着き、そこで自家用の小舟で駆け付けたリーとアッテンボローと遭遇するわけです。ドイツ軍がフランスに侵入してダンケルクで英仏軍を包囲するまでは陸戦ですけど、ここは地図を使ったアニメーションと記録映像で大まかなところは済ませますが、いきなり大戦中期から使用されるティーガー戦車の映像が使われたりして鼻白んでしまいます。ハリウッドと違って英国戦争映画はこういう細部にこだわるんですけど、ここはコメディ専科だったイーリング・スタジオの弱みが出てしまいました。 この映画が実はノーラン版ダンケルクに影響というかヒントを与えていることに気が付きます。ノーランはこの主要キャラ三人の行動を陸・海・空の物語に置き換え、時間軸もバラバラにして最後にダンケルク海岸で交差するように脚本を書いたのです。本作でも海岸で救出を待つ仲間に撃墜されたパイロットが加わっていたり、ジョン・ミルズたちが一度は乗った船が撃沈され九死に一生を得て海岸にたどり着くエピソードがあるところなどからも(もっとも船が撃沈されるのはアンリ・ヴェルヌイユ版『ダンケルク』にもあり、三作共通のエピソードとなります)推測されます。 ノーラン版のようなテンションが上がるシークエンスもなく、淡々とした感じで物語は進行しそして映画は終わります。辛口で言えば出来の悪いプロパガンダ映画みたいかなとも言えますが、ここで興味深いことに気が付きました。最近観た『人生はシネマティック』のダンケルク撤退を描いた劇中劇映画が雰囲気や細部がとても似ているんです。スクリューにロープが絡んで小舟が動けなくなるという同じエピソードがあるし、ダンケルク海岸のシーンではうり二つのショットまでありました。そう考えると本作は成功作とはお世辞にも言えないけど、けっこう後世に影響を与えているんだなと思います。
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 5点(2019-08-17 22:20:42)
S&S さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-27オースティン・パワーズ ゴールドメンバー7レビュー5.40点
2024-04-24レインメーカー8レビュー6.68点
2024-04-21アルプススタンドのはしの方6レビュー6.88点
2024-04-18ワイルド・リベンジ7レビュー7.00点
2024-04-15ファイティング・ダディ 怒りの除雪車7レビュー7.36点
2024-04-12雲の上団五郎一座7レビュー6.00点
2024-04-09オースティン・パワーズ:デラックス6レビュー5.39点
2024-04-06大菩薩峠 完結篇(1959)6レビュー6.11点
2024-04-03ジョン・ウィック:コンセクエンス8レビュー6.88点
2024-03-29江分利満氏の優雅な生活6レビュー7.00点
激戦ダンケルクのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS