深く静かに潜航せよ の S&S さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > フ行
 > 深く静かに潜航せよ
 > S&Sさんのレビュー
深く静かに潜航せよ の S&S さんのクチコミ・感想
作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 『Uボート』登場以前に製作された潜水艦映画の中ではかなりの良作、まるで『白鯨』のパロディのような荒唐無稽な展開ではあるが、ロバート・ワイズが職人の腕で見どころのある作品に仕上げています。 海軍全面協力でガトー級潜水艦の実物が使われて、意外と高速で海上を疾走する姿や内部の細かいメカなんかも丹念に見せてくれます。このクラスはとっくに米海軍では現役引退した骨とう品ですけど、他国では戦後に供与されたまだ第一線で配備されていたころですね。船員室や食堂などが狭いながらもきちんと整備されていて、さすがUSネイヴィー、同時期のUボートや伊号潜水艦とはえらい違いです。そして日本じゃどうあがいてもモノにできなかったレーダーを装備、波間に先っぽだけ出ている潜望鏡でも探知できたっていうから、そりゃ日本が勝てるわけありません。対する帝国海軍の駆逐艦アキカゼ、豊後水道で米潜を四隻屠ったという触れ込みですが、VFX用プロップなのに艦影がフレッチャー級駆逐艦と同一なのはお粗末。またソナーで米潜を追い詰めますけど、情けないことに帝国海軍には水中聴音機しかなく最後までソナーを開発できなかったというのが史実です。だいいち、直進してくる駆逐艦のような細い船体に真正面から魚雷を発射しても、相手が進路を変えない限りまず命中しないし、命中しても角度が浅すぎて魚雷が弾かれてしまう確率が高い。つまりクラーク・ゲイブルの必殺技は昔の少年漫画に出てくるようなレベルのお話しなんですが、それをここまで説得力あるというかもっともらしいお話しにできたのは、ひとえにロバート・ワイズの力量の賜物と言えるでしょう。人間ドラマとしては艦長と副長の対立という『ケイン号の叛乱』に通じる緊迫感があるテーマですけど、なんかゲイブルは意外とまともでランカスターもほとんど艦長に逆らわないし、拍子抜けさせられた次第です。そしてなんか物足りないなと感じてましたが、本作だけでなくハリウッド製の潜水艦映画には潜水艦特有の密室性や閉塞感が感じられないんですね。それもお国柄かな?
S&Sさん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-06 22:32:37)
S&S さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-27オースティン・パワーズ ゴールドメンバー7レビュー5.40点
2024-04-24レインメーカー8レビュー6.68点
2024-04-21アルプススタンドのはしの方6レビュー6.88点
2024-04-18ワイルド・リベンジ7レビュー7.00点
2024-04-15ファイティング・ダディ 怒りの除雪車7レビュー7.36点
2024-04-12雲の上団五郎一座7レビュー6.00点
2024-04-09オースティン・パワーズ:デラックス6レビュー5.39点
2024-04-06大菩薩峠 完結篇(1959)6レビュー6.11点
2024-04-03ジョン・ウィック:コンセクエンス8レビュー6.88点
2024-03-29江分利満氏の優雅な生活6レビュー7.00点
深く静かに潜航せよのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS