マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ の BOWWOW さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > マ行
 > マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ
 > BOWWOWさんのレビュー
マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ の BOWWOW さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ
製作国スウェーデン
上映時間101分
劇場公開日 1988-12-24
ジャンルドラマ,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 魔法をかけられたみたいに回をかさねて観れば観るほどに大好きになっていく不思議な映画だ。主人公イングマルはまだ子どもなのに、決してさびしいとは言わない。悲しいとも言わない。人工衛星に乗せられて死んだライカ犬や新聞で読んだ不幸な事故に遭った人たちと比べて自分は幸せだ、とただ思うだけだ。それは悲しみをやり過ごす手段というよりも、それこそが、彼にとってできるただ一つの悲しみの表現だからだ。だから、ライカ犬を思う時、それはつまり彼が年相応に泣くことすらできない時なのだ。それがなんともたまらない。両手を広げてむかえてくれるやさしいおじさんおばさん、友だち、そんなあたたかい村の人たちに囲まれて、笑ってはいても彼はいつもどこか所在なさげだ。彼にとっては、どんなに恵まれていようがそこは本当の居場所ではないのだ。彼が行きたい場所は、浜辺でのでんぐり返りに笑ってくれた母親とのまぶしい光景の中にしかない。そんな彼がはじめて泣きわめき、庭の東屋に立てこもるエピソードは、彼が等身大の自分に還るために必要な通過儀礼でもあったのだろう。人工衛星のような闇夜の東屋で、彼は何を思ったのか。やがて朝が来てライカ犬とは違い無事帰還をはたしたイングマルが見つけたのは、あらかじめ用意されていたその場所こそが自分の本当の新しい居場所であるということ。彼はもうライカ犬と自分を比べたりはしないだろう。悲しい時は悲しいと、さびしい時はさびしいと、言うだろう。自分の手でようやくそんな居場所を勝ちとったイングマルが遊び疲れてソファでうたた寝するラストシーンは、戦士のつかの間の休息のようで、ほほえましくも、とてもたくましい。
BOWWOWさん [DVD(字幕)] 10点(2009-07-23 21:56:37)(良:5票)
BOWWOW さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2019-02-25バーニング 劇場版10レビュー7.00点
2018-08-12リバーズ・エッジ8レビュー5.33点
2013-05-25青春神話10レビュー8.33点
2013-05-02エドワード・ヤンの恋愛時代10レビュー10.00点
2013-04-28恋恋風塵9レビュー7.00点
2013-03-09楽日10レビュー6.00点
2012-01-24海角七号/君想う、国境の南7レビュー5.23点
2011-04-02エターナル・サンシャイン9レビュー6.60点
2011-01-18ソーシャル・ネットワーク7レビュー6.53点
2011-01-02ファイト・クラブ9レビュー7.38点
マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS