ミックマック の keiji さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ミ行
 > ミックマック
 > keijiさんのレビュー
ミックマック の keiji さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ミックマック
製作国
上映時間105分
劇場公開日 2010-09-04
ジャンルコメディ,ファンタジー,犯罪もの
レビュー情報
観終って恵比寿ガーデンプレイスのパティオのベンチにすわって、自作のおべんとうを拡げて食べていて、さっき観た映画はこの手作り弁当みたいだな、などと思っていた。つまりたんじゅんに、手作りガジェットにあふれたおもちゃ箱をひっくり返したような膨大な小道具大道具、それを駆使して進行されるどこかアナログ感あふれる手作りファンタジーという味わいのストーリーなどなどからの連想なのだけれども、もちろんジュネ監督のこの新作はわたしのおべんとうのように貧弱なものであるはずもなく、「豪華な」という形容のことばをあたまにつけることを忘れてはいけないだろう。しかしやはり、たとえそのように「豪華」と名付けようとも、その「豪華」の質はあくまでも「手作り」な、レトロ感がただよいさえするもので、「人工」とか「人造」などという、ハイテクとはほど遠いことばこそが似合う世界というわけになる。とくに、主人公たち奇人変人の共同生活の場であるガラクタの山の下にある住処〜古道具再生工場、そこにごろごろと転がっていた奇々怪々な綺想のグッズの数々、そして仇役の武器製造会社社長(アラン・レネ作品でおなじみの、わたしの大好きなアンドレ・デュソリエが演じている)のビザールなコレクションなどにこそ、この映画作品を観る楽しみがあるということになる。そういう意味で、それらのガジェットをこそもっとじっくりと見せてほしかったという、観終ってしまって残されたかなわなかった夢こそがこころに引っかかってしまうことになる。まあこのくらいにそういうガジェットをちょん、ちょんとみせるあたりにこそジュネ監督の持ち味があるのだろうけれど、そのあたりがストーリーのなかにうまくはめ込まれていた印象の前作「ロング・エンゲージメント」に比べると、この「ミックマック」ではそういうガジェットを自立させようという意志と、映画としてのストーリー展開を重視する意志とが衝突してしまった感じを受けてしまう。
 そう、ここでジュネ監督の持ち出すガジェット群がその映像のなかで自立していけば、その世界はシュワンクマイエルの映像世界に近接してくるだろう。
keijiさん [映画館(字幕)] 7点(2010-10-02 13:46:30)
keiji さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2014-11-22シャイニング(1980)9レビュー7.38点
第三の男9レビュー7.54点
2014-07-05チャイナタウン9レビュー7.07点
2014-02-23父ありき7レビュー7.20点
2014-02-14扉をたたく人6レビュー7.24点
2014-02-11かぐや姫の物語2レビュー7.17点
2014-01-17カプリコン・17レビュー7.17点
2014-01-03アルゴ8レビュー7.14点
2013-12-29三十四丁目の奇蹟(1947)1レビュー7.48点
2013-12-13残菊物語(1939)10レビュー8.88点
ミックマックのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS