白いリボン の keiji さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > シ行
 > 白いリボン
 > keijiさんのレビュー
白いリボン の keiji さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 白いリボン
製作国,オーストリア,,
上映時間144分
劇場公開日 2010-12-04
ジャンルドラマ,ミステリー
レビュー情報
《ネタバレ》 ●北ドイツの小さな村におこったあれこれの事件、それらの事件に通底したものは何だったのかということを、単純な犯人探しのミステリーを越えた、もっと大きな歴史の流れのなかに置いて描く演出にはみていても背中がゾクゾクしてくる。●映画は、その村に外の町から来ている教師の語りで進行することになり、この教師が村のなかの人間関係を深くは知らないということからはじまり、それでもだんだんに「いったいこの村に何が起こっているのか」という真相に近づいていくわけになる。しかし映画はその教師の知り得ないことがらをも目撃し、観客に知らせることになる。映画で語られるあれこれの事件にかんして、語り手の教師と、その恋人(婚約者になる)のエヴァという女性だけが、ある意味であれこれの事件にまったく無関係な立場にあるように描かれるわけだけれども、では、この語り手の教師はいったい何者なのか、この教師の回想にはどんな意味があるのか、というあたりまで含めてのこの作品であって、この教師がこの村でのそれらの事件の裏にあるものを垣間見て、その事件ぜんたいの構造を想像でき得ていたとして、ではこの教師はどういう存在になるのか、というあたりをこそ、この作品はいいたいのではないのか、などと思うわけである。この教師にも、「白いリボン」は結び付けられているのではないのか。●ハネケの作品には、なにからなにまで、「これにはこういう意味がある」などと解読してしまうことで、そのいちばんのテーマが手もとからすり抜けてしまうようなところがある。スクリーン上で展開するものからはみ出てしまうものこそを感知すること、そんなことが観客には要求される。だからわたしにもこの作品の背後にあるものなどほんとうにはわかっていないだろうと思うし、わかったような顔をしてストーリーを解読してもしかたがないじゃないか、などと思うわけである。ただ、彼の作品にはヴィジュアル的にひとをゆさぶる、ショッキングなショットがかならずあるわけで、それは監督が観客に贈るインヴィテーション・カードのようなものでもあると思うのだけれども、この「白いリボン」では、牧師の娘がその父の鳥かごの鳥のあたまをハサミで切断し、その羽根を拡げてあたまの部分にハサミを刺し、十字架のようなかたちにして父の机の上に置いたショットあたりではなかったか。
keijiさん [映画館(字幕)] 7点(2011-06-12 18:51:17)
keiji さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2014-11-22シャイニング(1980)9レビュー7.38点
第三の男9レビュー7.54点
2014-07-05チャイナタウン9レビュー7.07点
2014-02-23父ありき7レビュー7.20点
2014-02-14扉をたたく人6レビュー7.24点
2014-02-11かぐや姫の物語2レビュー7.17点
2014-01-17カプリコン・17レビュー7.17点
2014-01-03アルゴ8レビュー7.14点
2013-12-29三十四丁目の奇蹟(1947)1レビュー7.48点
2013-12-13残菊物語(1939)10レビュー8.88点
白いリボンのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS