アラビアのロレンス 完全版 の keiji さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ア行
 > アラビアのロレンス 完全版
 > keijiさんのレビュー
アラビアのロレンス 完全版 の keiji さんのクチコミ・感想
作品情報
レビュー情報
 とにかく、ロング・ショットで映される砂漠の景観の雄大さ。やっぱりこれは映画館の大スクリーンで観なくっちゃダメでしょ、という感じになる。デヴィッド・リーンとしては、ジョン・フォードのお得意のモニュメント・ヴァレーなんか、この砂漠の雄景に比べたら箱庭みたいなもんだぜえといわれるようにしてやるという対抗意識もあったかもしれない。ベドウィン族はどうみても西部劇のインディアンだし。これ以後の映画でいえば「スターウォーズ」の砂漠、「風の谷のナウシカ」の腐海とかに受け継がれる光景ではないだろうか。こんかい観て、「風の谷のナウシカ」なんかぜったいにこの「アラビアのロレンス」の変奏曲ではないかと思ってしまう。
 しかし、そんな映像の雄大さにくらべ、このドラマの屈折ぶりは半端ではないということになる。基本的には砂漠を舞台として、「砂漠を愛してしまった男」の一大叙事詩を描くという演出なのだけれども、どう観てもこの作品のドラマ展開にはホモセクシュアルな香りがプンプンと匂い立つ(とにかく、女性というものがまったく、これっぽっちも登場してこない映画というのも珍しい限りなのだけれども)。そこに、あまりに象徴的に「銃」という小道具(これはもちろんいうまでもなくペニスの象徴である)が何度も登場するわけである。あきらかにホモセクシャルな傾向をもつ主人公のロレンス(ピーター・オトゥールがはまりすぎ!)に対して、ナヨナヨフニャフニャしたファイサル王子(アレック・ギネス)という存在と、あまりにマッチョなベドウィン族のアウダ(アンソニー・クイン)とが彼を両サイドからはさみ、ノンケな顔をしていながらロレンスに異常な愛憎感情を持つアリ(オマー・シャリフ)がいつもロレンスのわきにいる。これにさらに、ホセ・ファーラーみたいなトルコ軍のサディストじみた将校も登場して、SM趣味まで加わってくる。こんなイヤらしい映画に誰がした!という感じであるけれども、まあわたしのなかではヴィスコンティの「ベニスに死す」にも拮抗する、偉大なるホモセクシャル映画、ということになる。そうそう、モーリス・ジャールのスコアが、素晴らしいのである!







keijiさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-02-15 13:02:35)(笑:1票)
keiji さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2014-11-22シャイニング(1980)9レビュー7.38点
第三の男9レビュー7.54点
2014-07-05チャイナタウン9レビュー7.07点
2014-02-23父ありき7レビュー7.20点
2014-02-14扉をたたく人6レビュー7.24点
2014-02-11かぐや姫の物語2レビュー7.17点
2014-01-17カプリコン・17レビュー7.17点
2014-01-03アルゴ8レビュー7.14点
2013-12-29三十四丁目の奇蹟(1947)1レビュー7.48点
2013-12-13残菊物語(1939)10レビュー8.88点
アラビアのロレンス 完全版のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS