ブラッド・ダイヤモンド の かっぱ堰 さんのクチコミ・感想

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ブラッド・ダイヤモンド の かっぱ堰 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ブラッド・ダイヤモンド
製作国
上映時間143分
劇場公開日 2006-04-07
ジャンルドラマ,サスペンス
レビュー情報
《ネタバレ》 5年前に一度見た時点では何も書く気がしなかったが、他のアフリカ関係の映画を見た機会に書いておく。
まず、どれだけ悲惨な話でもきっちり娯楽映画にしてしまう米映画産業には感心する。紹介文では「衝撃のアクション超大作」とされているが、村の自警団など笑わせるところもあり、最後は美人ジャーナリストの功績で世界が動いて、ただの漁師が立派な身なりで国際会議の晴れ舞台に立つのが非常に都合のいい展開で、ラストの説明文も真面目に受け取る気がしなくなった。ただし途中でラブシーンを完全に飛ばしていたのは悪くないと思う。

ところで劇中ではシエラレオネ共和国の国歌を披露する場面があったが、歌詞と実態のギャップが激しいのは悲しいことである。腕の切断はベルギー人が始めたという台詞があったが、ベルギー人が野蛮とすれば真似する連中も野蛮なのであって言い訳にもならない。先進国が諸悪の根源で途上国の民はみな善良、などという図式は必ずしも成り立たないのが現実であり、そもそも平和愛好的に躾けられている日本人とは倫理性のレベルが全く違うと思わなければならない
しかしここで大事なのは、人間に本質的な善悪はなく具体的な行動が問題だ、という登場人物の言葉と思われる。誰もが主人公のように行動できるわけではないが、しかし皆が衣食足りて礼節を知る状態になれば行動面にも自然に影響し、人の本性の善悪に関わりなく総体として穏やかな社会ができるのではと思われる。それは日本ではだいたい実現しているが、いずれこの地域にも期待できるのかも知れない。

また企業活動に関しては、最後に出たキンバリー・プロセスなるものの実効性がどうかはともかく、紛争資源に対して何らかの取組みが行われること自体は悪くない。その原動力になるものとして、この映画では消費者その他の庶民一般に働きかける形になっていたが、今なら投資家という言葉も出るかも知れず、また個別企業がそれぞれの動機で自ら制度遵守に取組む場面が生じることも考えられる。本質論として業界や企業の本性の善悪を問うのは無意味だが、しかし多くの個人の良心に沿った行動を合理的観点から選択することはありうるのであって、それが結果としていい方向に作用するなら否定すべきものでもない。
映画産業も基本的にはカネを追求しているわけだろうが、このように少し考えさせる内容を娯楽映画に入れること自体を悪く言えない気はして来た。
かっぱ堰さん [DVD(字幕)] 6点(2018-11-01 19:56:21)(良:1票)
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