劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語 の かっぱ堰 さんのクチコミ・感想

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劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語 の かっぱ堰 さんのクチコミ・感想
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《ネタバレ》 いたいけな少女をシビアな環境に置くという趣向自体は珍しくないのだろうが、このアニメでは劇中世界そのものの苛酷さが半端でない。エンディングでは不安をかき立てるテーマ曲をバックに女の子走りをする少女の姿が痛々しく、劇場版ではこれが前編の最後に1回だけだが、TV版では3話以降これが何度も繰り返されるので心の痛みが次第に増していき、続けて次回を見なければ済まない気にさせられた(劇場版の話ではないが)。

ところで劇場版ではマミさんが魔法少女になった経緯が出ていないのはなぜか不明だが、彼女としてはとりあえず現状を肯定するため「人助け」を当面の目的扱いしていたように見えている。しかし、まどか・さやかがこの点に共鳴したのは入口として明らかに間違っていたらしく、これはマミさんのかなり意図的なミスリードに思われる。その後の展開は、広い意味でのヒーロー物が前提としていた古典的で素朴な「正義の味方」像に対し、現実的で冷淡な認識を容赦なく執拗に突きつけていたように見える。
またこのアニメ独自の問題提起になっているのが希望と絶望の問題である。現実に裏切られたことで当初の希望が反転し、現に希望をもって何かを目指す者を冷笑する人物に変わってしまうのは実社会でも起こりうることだが、さらに劇中では希望が必ず絶望で報われるとまで言い切ることで、登場人物をとりまく世界の救いのなさを印象づけていた。希望と絶望の総和がゼロというのが正しいかはわからないが、これはこれでわれわれのいる現実世界の実態を端的に表現したものと感じられる。
以上、この前編の範囲で見ていると、かつての子どもが現世への失望を経てオトナになり、一度は憧れた「正義の味方」を貶めて格好つけて見せただけのようにも取れる。しかし一方では世評の高い「結界」の表現など、やはりただならぬアニメと感じさせるものはあり、途中経過としてもある程度の点数は付けておかなければならない気になる。

なお後編が字数制限にかかるのでここに書いておくが、個別の魔女退治の場面で特に強烈な印象を残したのは、何といっても青空にひるがえるセーラー服だった。ここでは得体の知れないものへの警戒感と爆笑の衝動が一緒に襲って来る。
かっぱ堰さん [DVD(邦画)] 7点(2014-04-21 21:55:35)
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