ファブリックの女王 の かっぱ堰 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > フ行
 > ファブリックの女王
 > かっぱ堰さんのレビュー
ファブリックの女王 の かっぱ堰 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ファブリックの女王
製作国フィンランド
上映時間85分
劇場公開日 2016-05-14
ジャンルドラマ,伝記もの
レビュー情報
《ネタバレ》 独創的なデザインのファッション製品・バッグ・インテリア・雑貨類を世界に提供するフィンランド企業「マリメッコ」の創業者であるアルミ・ラティア(1912-1979)の映画である。邦題の「ファブリック」とは会社の原点になった布を意味しているようで、今も商品ラインナップに載っている(テキスタイルとはニュアンスが違うらしい)。なお個人的には衣類には縁がないが、ウニッコ(Unikko)柄のマグカップが一個だけある。
ちなみに創業者の死去後、経営が悪化していた会社を1991年に買収して再建したキルスティ・パーッカネンという人物のTVドキュメンタリー「マリメッコの奇跡」というのも見たことがある。この人物も創業者を評価し、その方針を引き継ごうとしたとのことだった。

マリメッコの映画であるからには、鮮やかな色彩感で見せる映像(ポピーのお花畑イメージ)が豊富かと思えばそうでもない。また監督インタビューによれば「お決まりの伝記的な形にはしたくはなかった」そうで、この人物を語る際に必ず出そうなケネディ大統領夫人の話などは出て来ない。
それより基本的には人格の表現に重点が置かれていたらしい。DVD特典のTVドキュメンタリーでは本人の理性的な面が見えており、有無を言わさず周囲を引っ張る豪傑のような印象もあったが、しかしこの映画ではどちらかというと、監督の言っていた「非理性的なところ」や人間的な弱味が強調されていたようである。
また当然ながら、男社会で苦闘する女性への共感も制作の動機だと監督は語っていた。ちなみに監督は主人公の元友人で、マリメッコの役員を務めたこともあるそうである。

映画の作りとしては、主人公を扱った演劇の稽古の場面を映画にした劇中劇の形になっている。その理由としては、主人公のいた世界をまともに再現しようとするよりも、舞台装置の形にした方が安価でシンプルかつ芸術的に表現できるからか。また演出家との会話で役者の迷いが語られていたりするのは、一人の人間の本質に迫ること自体の難しさが表現されていたようでもある。映画化にあたってまとめ切れていないというよりは、それが人間というものの実態だということかも知れない。
以上のようなことで、評価すべき点はあるだろうが娯楽性は高くない。個人的には大変よかったともいえないが、個別の場面としてはアメリカで、主人公の側近が舞台裏から覗いていたのが面白かった。変人風だが重要人物だったらしい。
かっぱ堰さん [DVD(字幕)] 6点(2020-08-01 08:49:50)
かっぱ堰 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-05-04アナベル あいのきずな5レビュー5.00点
ブラッディ・ホステージ5レビュー5.00点
2024-04-20オクス駅お化け5レビュー4.66点
2024-04-20オンマ/呪縛6レビュー5.50点
2024-04-13リゾートバイト6レビュー6.20点
2024-04-13“それ”がいる森4レビュー3.20点
2024-04-13事故物件 恐い間取り6レビュー3.56点
2024-04-06モロッコ、彼女たちの朝5レビュー5.00点
2024-04-06ラフィキ:ふたりの夢5レビュー5.00点
2024-03-23ザ・デッド インディア6レビュー6.50点
ファブリックの女王のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS