ダイアナ の かたゆき さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > タ行
 > ダイアナ
 > かたゆきさんのレビュー
ダイアナ の かたゆき さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ダイアナ
製作国
上映時間113分
劇場公開日 2013-10-18
ジャンルドラマ,伝記もの
レビュー情報
《ネタバレ》 ダイアナ元皇太子妃とは、果たして何者であったのか――。スキャンダルにまみれたその生き方によって英国王室の権威を失墜させた希代の悪女だったのか、それとも前近代的な価値観によって女性を縛り付ける古き制度を打破しようとした新しき女性の先駆者なのか、あるいは人々に悲劇を撒き散らした地雷という非人道的な兵器を世界から根絶すべく尽力した人道主義者か、はたまたただ幸せになろうと努力したのにそうなることを許されなかった悲劇のヒロインなのか?本作では、それら今まで形作られてきたであろう彼女のある種神格化されたイメージを踏襲しつつも、ただある男性を一途に想い続けた普通の一人の女性という、極めて親しみやすいダイアナ像を描き出している。事実がこの通りだったのかは分からないが、ただ愛する男性と幸せになりたかっただけなのに、自分が世界で一番有名な女性となってしまったがために苦悩の色を深めていく彼女を抑制された演出で最後まで淡々と描き出した所は素直に好印象を持った。パパラッチという、人の不幸を食い物にする愚かな人間どもによってそのプライベートを丸裸にされ、あまつさえ命まで奪われてしまったダイアナ妃の悲劇には深い憤りを覚えざるを得ない。伝記映画としてある一定の完成度に達していることは明らかだろう。ただ、最期まで自らのプライバシーを娯楽として見せ物にされた彼女が、もし生きていてこの映画を見たとしたら果たしてどのような感想を持ったことだろう?極めて好意的に描かれており、彼女が既に故人であるということをかんがみても、自らの赤裸々な恋愛、ましてやセックスシーンまで再現されたこの映画を見て、手放しに喜んでくれるだろうか。個人のプライバシーと芸術表現、覗き見趣味的ゴシップと娯楽と教養としての伝記映画……。この作品は極めて悩ましい問題を内包しているように自分は思う。少し穿った見方をすれば、本作に関わったスタッフたち自身もそんな難しい問題に絡めとられたのか、映画としてみれば極めて中途半端な印象が拭えない。プライバシーを尊重すれば映画として成り立たない、ドラマティックに演出すれば露悪趣味だと糾弾されかねない。非常に悩ましい問題であると思うのだが、監督には敢えてそんな境界線を踏み越える勇気を見せて欲しかった。恐らくその向こうにこそ、映画という芸術表現の真の価値が表れるのだから。
かたゆきさん [DVD(字幕)] 6点(2015-01-25 00:52:05)
かたゆき さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-03-23ベネデッタ8レビュー6.50点
2024-03-11マッドゴッド7レビュー6.50点
2024-03-09ヴィーガンズ・ハム6レビュー6.00点
2024-03-07炎のデス・ポリス5レビュー5.25点
2024-03-07マッシブ・タレント7レビュー7.00点
2024-03-01子宮に沈める4レビュー6.66点
2024-02-23ノック 終末の訪問者4レビュー4.50点
2024-02-07ボーンズ アンド オール8レビュー8.00点
2024-02-07ザリガニの鳴くところ6レビュー7.00点
2024-02-07ヒトラーのための虐殺会議〈TVM〉8レビュー7.20点
ダイアナのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS