オキシジェン の かたゆき さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > オ行
 > オキシジェン
 > かたゆきさんのレビュー
オキシジェン の かたゆき さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 オキシジェン
製作国,
上映時間101分
ジャンルサスペンス,SF,配信もの
レビュー情報
《ネタバレ》 人一人がなんとか横たわることが出来るような狭い密室である日、目覚めた一人の女。まるで棺桶のようなここには、高度な医療技術を備えた設備が整えられ、「ミロ」と名乗るAIが全てのシステムを管理していた。どうやら完全隔離された医療ポッドらしい。目覚めた女は断片的な記憶はあるものの、自分がなぜここに居るのか、なぜこのような事態に陥ってしまったのか、さらには自分の名前すら思い出せなくなっていた。「すぐにここから出して!」――。ミロにそう訴えるものの、ミロは「今はその時ではありません」と事務的に告げるだけで外部へのドアは固く閉ざされたまま。しかもポッド内の酸素残量はあと僅かしかなく、このままでは一時間もすれば窒息死すると冷徹に告げるのだった。あまりの事態に半狂乱になる女。酸素が底をつく前になんとか脱出しようと、微かな記憶だけを頼りに必死で解決法を探るのだったが……。手足を僅かばかり動かせるような狭い密室で目覚めた女の極限の恐怖を描いたサスペンス。一時期大量生産された、いわゆる密室系ソリッド・シチュエーション・スリラーの一種と言ってもいい本作、そんな期待せずに今回鑑賞してみました。だって『リミット』をはじめとするこのジャンルの映画にはさんざん苦い思いをさせられてきましたから。なのですが、僕のそんな先入観は良い意味で裏切られました。いや、なかなかの良作ですよ、これ。何が良いってまずはセンス溢れる美しい映像。ずっとこの医療ポッドの中だけで最後まで進むので物語としては単調になりがちなのだけど、青を基調としたスタイリッシュな映像がとにかくキレイでずっと見ていられます。時折挿入される回想シーンもノスタルジックで、現在の危機的状況との対比が巧く効いている。と、油断していたら、急に大量のネズミがポッド内に出現して、これがなかなか衝撃的でひえーっと思わず声に出しちゃいましたわ。この緩急のつけ方は見事というしかないですね。もう一つは、練られた脚本の力。主人公がポッド内の電話で警察と連絡を取るところから、「あー、これはきっと何処かのイカれた病院かサイコパスに地中に埋められたかだろうな」と思っていたら、途中でまさかの急展開!いや、そうくるかって感じです。そしてその真相はあまりに切ないもので、僕は思わず泣きそうになっちゃいましたわ。外の世界の映像があまりに美しく、より悲しみを倍増させます。自分だったらこんなの絶対耐えられないよ…。監督は『ピラニア3D』などのバカ映画を撮っていたかと思えば、急に『ルイの9番目の人生』というセンス溢れる良作を撮ったアレクサンドル・アジャ。この人のふり幅は相変わらず激しい。今回は良い方のアジャでした。最後の映像は個人的にはいらんかったと思うけど、低予算ながらなかなかの逸品でございました。
かたゆきさん [インターネット(字幕)] 9点(2021-11-07 03:31:09)(良:1票)
かたゆき さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-26ザ・キラー7レビュー6.40点
バービー(2023)5レビュー6.76点
2024-04-20ブラックアダム5レビュー6.72点
2024-04-13エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス3レビュー5.72点
2024-04-10すずめの戸締まり7レビュー6.54点
2024-04-06月の満ち欠け6レビュー5.60点
2024-04-03ハウス・バウンド6レビュー6.00点
2024-03-30あのこと5レビュー5.00点
2024-03-30ウェディング・ハイ6レビュー5.71点
2024-03-23ベネデッタ8レビュー6.50点
オキシジェンのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS