タイタンの戦い(2010) の せんべい さんのクチコミ・感想

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タイタンの戦い(2010) の せんべい さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 タイタンの戦い(2010)
製作国,
上映時間106分
劇場公開日 2010-04-23
ジャンルアクション,アドベンチャー,ファンタジー,シリーズもの,リメイク,3D映画
レビュー情報
《ネタバレ》  1981年版について「公開当時、自分は中学生。往年のハリーハウゼン作品を見続けてきた人達からの評判は良くなかったが、自分がギリシャ神話で一番好きなペルセウスの冒険の映画化であり…」と、当レビューで10点をつけた者として、この2010年版を観るのも義務だろうと思い、今更ながら鑑賞。以下、3つに項目立ててお伝えします。
 まず一つ目。2009年頃に「タイタンの戦いのリメイクの製作が進行中」という話を知ったときのことです。私は「ああ、やっぱり…」と思いました。何故なら、上述の通り1981年版は公開当時の評判は必ずしも良くはなく「ハリーハウゼンも老いたり。かつてのハリーハウゼンなら、あのシーンはもっと○○だったろうに…」といった声があったからです。したがって「ハリーハウゼン作品でリメイクするなら、どの作品か」というリサーチをすれば、タイタンの戦いがトップだろうと思ったのです。そのため「アルゴ探検隊の大冒険(1963年)のリメイク企画が持ち上がったのが発端」という↓の【ザ・チャンバラさん】のお話は興味深かったです。でもハリーハウゼンの最高傑作として名高い【アルゴ…】をリメイクしなくて正解だったと思います。 大抵、最高傑作・不朽の名作と呼ばれる作品のリメイクは、往年のファンからの眼差しが厳しくなりがちですので…。
 さて、二つ目は、鑑賞しての率直な感想です。「ルイ・レテリエ監督なりに1981年版を尊重しながら新たな脚色に情熱を注いでいるな…」と思いました。文面が膨大になるので怪物に絞って明記すると、その筆頭に挙げられるのは、やはりメデューサでしょう。1981年版と同様に下半身がヘビで弓矢を持った姿で登場しましたし「1981年版はおどろおどろしい演出で、一人しか石にしなかった。自分はお得意のスピーディーな演出で、もっとたくさんの兵士を石にするぞ!」といった監督の熱い思いが伝わってきました。1981年版のオリジナルキャラクター・カリボスの登場にも感心しましたが…それなら黄金の梟のブーボーも活躍させてほしかったですし、二つ首の番犬ディオスキロスも登場させてほしかったかな…と、少々不満はあります。しかしクラーケンでは、とてつもない巨大感と力強さ、そして苦しみながらジワジワと石化する過程が見事に表現されていたと思います。ただし、CGに慣れ親しんでいる若い人達には【普通】なんだろうな…とも思いました。
 最後の三つ目は【ペルセウスの冒険の映画化】という観点からの違和感です。ただでさえ1981年版は“劇映画”の体裁に沿って神話を脚色・再構成していたのに、当作品はさらに脚色を重ねたため、一般に知られている【ギリシャ神話・星座物語】のペルセウスの冒険から、一層、かけ離れたと思います。もし私が中学時代に当作品を観たら「こんなのペルセウスの冒険ではない!」と激怒したでしょう。もっとも、ルイ・レテリエ監督はあくまで【映画のリメイク】をしたのでしょうから、違和感は的外れかもしれません。また1981年版のベースになった神話エピソード(メデューサは美女だったが、女神によって怪物に変えられた/ペルセウスはペガサスに乗ってアンドロメダ姫のもとを訪れ、メデューサの首で、化けクジラを石にした)は、原典に最も近いと言われている【アポロドーロス著のギリシア神話:岩波文庫】には記載されていません。つまり、これらのエピソードは【後世の脚色】だとわかります。その意味で当作品も【後世の脚色】になると思います。いずれ映画の脚色ということが忘れられ、当作品のストーリーが【ギリシャ神話・星座物語】の本に掲載される時代が来る…かもしれません。

 さて採点ですが…CGのVFXがポピュラーな現在では、もはや【普通の映画】という印象はぬぐえず、まずは可もなく不可もなくの5点だと思います。一方、養父を演じたピート・ポスルスウェイト氏は、個人的に好きな俳優さんでした。惜しくも当作品公開の1年後・2011年に亡くなられており、哀悼の意を表してプラス1点=計6点とさせていただきます。なお、続編のタイタンの逆襲(2012年)は、ギリシャ神話のエッセンスは盛り込まれているのでしょうが、ペルセウスの冒険とは異なるオリジナルストーリーのようなので、鑑賞は控えさせていただきます。

 平成29(2017)年9月18日(月)追記:当初の採点箇所の文面が、くどいと感じたので短く修正しました。ところで、当作品のペルセウスの心情を察すれば、生き返らせてほしかったのはイオだけだく、共に戦った仲間、そして何よりも、養父母と妹だったのではないか…と思います。そうしてくれていれば、もう少し高得点をつけていたかもしれません。
せんべいさん [DVD(字幕)] 6点(2017-08-21 21:22:30)
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