元禄忠臣蔵 前篇 の ゆき さんのクチコミ・感想

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元禄忠臣蔵 前篇 の ゆき さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 元禄忠臣蔵 前篇
製作国
上映時間112分
劇場公開日 1941-12-01
ジャンルドラマ,時代劇,シリーズもの,モノクロ映画,歴史もの,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》  溝口健二監督の「忠臣蔵」という事で、観るのを非常に楽しみにしていた本作品。

 冒頭にて「刃傷松の廊下」が起きる構成となっているのですが、この時点で少し嫌な予感がして、それが的中してしまった事が残念でしたね。
 これは「忠臣蔵」全般に言える難点だと思うのですが「どう考えても悪いのは斬り付けた浅野内匠頭の方であり、吉良上野介が哀れな被害者にしか見えなくなる」という現象が、本作においても起こってしまっているのです。

 やはり事前に「吉良が如何に意地悪をしてきたか」を濃密に描いてくれないと、どうしても浅野側に共感出来ないのですよね。
 この映画に関しては、特に「吉良側が可哀想に思えてくる」度合いが高いように思えて、前編と後編に亘り、やれ「侍としては風上に置けぬ人」だの「汚い白髪首」だのと言われてしまうものだから、何とも不憫。
 映画冒頭で吉良が口にしていた「無知、不作法」などの悪口よりも、ずっと酷い言葉を善玉側が何度も口にするもので、どうにも肩入れ出来なくなってしまうのです。

 全体のストーリーとしては、現代目線からするとオーソドックスな「忠臣蔵」であり、特に目新しく感じる要素が無かったのも、辛いところ。
 いっそ割り切ってカメラワークやら演出やらのテクニック面を楽しもうかとも思ったのですが、それも溝口監督の後年の作となる「雨月物語」や「近松物語」などに比べると、まだ洗練されていないように思えたりもして、何だか袋小路に陥ったような息苦しさを覚えました。

 勿論、才能のある監督さんが、普遍的な魅力のある題材を扱っているのだから「つまらない」「面白くない」という訳ではないのですが、期待値が高過ぎたせいか、どうしても落胆に近いものがありましたね。

 そんな気持ちのままで前編を観終わるも
「吉良邸への討ち入りを、溝口監督は如何に描くのか?」
 という好奇心は残っていたがゆえに、まだまだ弾む心を保ったままで、後編を再生させたのですが……
ゆきさん [DVD(邦画)] 5点(2016-09-13 18:07:27)
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