第七の封印 の Yuki2Invy さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > タ行
 > 第七の封印
 > Yuki2Invyさんのレビュー
第七の封印 の Yuki2Invy さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 第七の封印
製作国スウェーデン
上映時間97分
劇場公開日 1963-11-09
ジャンルドラマ,ファンタジー,モノクロ映画,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 死から決して逃れられないのは遍くヒトの宿命であって、十字軍だろうが疫病だろうが・それが世界に降り注ぐ速さに多少の違いが在ろうが無かろうが、根本的なその状況自体にまず大差は無いと思うのです。かつ、今作の主人公・騎士アントニウスは迫り来るその死を前にして、ソコからは逃れられぬという絶対的な人間世界の悲惨と・そして何も語らない神、というシステム全体の在り方に対する疑問を問い続けて居る、そのことはまた確かに、多分にキリスト教的な(or 少なくとも宗教的な)観点からの問いかけだと、私も見做せるとは再び思うのですね。

しかし、今作の登場人物の振舞いを通しては、その「宿命」に対してもっとヴァリエーションに富んだアプローチの数々、というのを見て取れるとも思うのですね。それこそ、誰か一人にその咎を押し付けて生贄に捧げて満足する者、或いは、終末論的なナニかを振り翳して絶望に浸ることで逆に優越感を得る者、なんてのは、今現在に至っても・キリスト教の支配の下に無いこの国においてさえ、探せば幾らでも見つかるって光景だと思うのですよ。しかし重ねて、その一方で例えば、考えても答えの出ない問いに無為に陥ることを拒否して日々を享楽的=ごく前向きに生きること、であるとか、神でも仏でもない己の道理にのみ忠実で在ること、とか、それでもその強大なる運命をちゃんと恐れて・自分自身の無力さを知ることで逆に総てを受け容れること、だとか、そして今作は寧ろそういった後者の諸々の方により大きな価値を見出しているのだろう、ということ自体は、思ったよりも容易く伝わって来る(と感じられる)作品だったとまずは思うのですし、ソコには実は、実に容易に共感もしてゆける…とも思うことが出来たのですよね(⇒とは言え、ゆーて私も2回3回は観た上でこうなったってダケなのですケドね)。

今回、また久し振りに再見しての感想として、やはり難解と言われる作品だとは重々思うのですが、それでもごくシンプルにポジティブなモノを描いている方の作品だったのだな、と思うトコロにまでは至れました。且つその上で、台詞はどれも含蓄に満ちて・そして映画全体としても全く無駄が無い、という類稀な完成度を備える作品だと思うのにも(同様に)至るコトが出来たのですよね。やはり、傑作かと思います。
Yuki2Invyさん [DVD(字幕)] 9点(2024-03-25 22:29:47)
Yuki2Invy さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-04-14aftersun/アフターサン6レビュー6.00点
トロイ(2004)6レビュー5.86点
2024-04-09ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 死霊創世紀5レビュー6.67点
2024-04-06オーメン:ザ・ファースト6レビュー6.50点
2024-04-04オーメン/最後の闘争3レビュー3.71点
2024-04-03オーメン2/ダミアン5レビュー5.18点
2024-04-02オーメン(1976)8レビュー7.02点
2024-04-02愛の新世界7レビュー6.61点
2024-03-29オッペンハイマー7レビュー6.43点
2024-03-26SISU/シス 不死身の男6レビュー7.33点
第七の封印のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS