沈黙 ーサイレンスー(2016) の K&K さんのクチコミ・感想

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沈黙 ーサイレンスー(2016) の K&K さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 沈黙 ーサイレンスー(2016)
製作国,,,メキシコ
上映時間159分
劇場公開日 2017-01-21
ジャンルドラマ,時代劇,歴史もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 キリシタン迫害の映画。拷問の痛々しさと、逃げ道も救いもない流れが想像できるので、重たい気持ちで鑑賞。
劇中、キチジローが日本を国として考えてるのとか、村人から番人まで流暢な英語を話してるのとかは、映画らしいディフォルメと考えるにしても、ここまで日本と日本人が違和感なく反映されたハリウッド映画が出来てくることに、時代の変化を感じる。
ディフォルメ表現はあっても、クリスチャン→切支丹、パードレ↔伴天連、パラダイス→パライゾなど、当時の日本で使われていただろう単語はそのまま残しているところが、よく研究して創っているなって感心させられる。

テーマは重たいけど思いの外エンターテイメント作品としてグイグイ惹き付ける内容で、言葉の通じない(とは言えないけど)敵だらけの異国の地で、役人から隠れながら布教活動に務める2人の神父の勇敢さ。切支丹を迫害する悪として登場する役人だけど、そうするに至った理由が語られるたび、ロドリゴ神父への対応を見るたび、日本がしっかり考えた上で、キリスト教を拒否した経緯が観えてくるのが興味深い。
本編とは関係ないけど最初のジェダイ、クワイガンを探しに、最後のジェダイ、ベン・ソロが旅立つ流れは勝手に胸熱。

誤解して、あるいは故意に誤解させて広まった日本のキリスト教。ロドリゴ自身の信仰と、眼の前の信者の命を天秤にかけた説得、棄教を迫るやり方。拷問の残忍さ。何が正しいのか解らなくなってくる。波に打たれても賛美歌を歌い続けるモキチの純粋さ。死を覚悟してもパライゾを信じるモニカの真っ直ぐな眼。どう考えても一番可愛そうなのは末端の切支丹たちに思える。

忠庵の話はなんか納得。ザビエルが“神の御子(SON)”を“大日=太陽(SUN)”と教えた下りは、八百万の神を信じ、その頂点に天照大御神(大日)を置く日本古来の考えとマッチした…と言うか寄せてきたんだなって。科学技術も宗教の研究も進んでるポルトガル人が、村人一人ひとりに寄り添って「この教えが正しいんだよ」と言えば、普段顔も見られない殿さまと、その下の役人に足蹴にされて、重たい年貢を強いられる村人は「そうなのかぁ、知らなかったなぁ」って信じただろう。踏み絵の際の「カタチだけで良い」は、悪魔の甘い囁きなんだろうか。キチジローのように踏んだ者への扱い(放免)を考えると、本当に出来る限りの譲歩はしていると思える。日本に限らずキリスト教徒はこの映画をどう観るのか。
日本は無宗教の国家だけど、宗教を信じている人は人口の2~3割。だけど各宗教団体の信者数を足すと2億人を超えるらしい=人口の約2倍。これも正しいのかどうかわからないけど、キリスト教を拒否した結果、日本は植民地支配を免れたのかと思うと、宗教の必要性とか役割について、色々考えてしまうなぁ。
K&Kさん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-05-22 14:35:54)(良:1票)
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