生きる の Сакурай Тосио さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > イ行
 > 生きる
 > Сакурай Тосиоさんのレビュー
生きる の Сакурай Тосио さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 生きる
製作国
上映時間143分
劇場公開日 1952-10-09
ジャンルドラマ,医学もの,モノクロ映画
レビュー情報
現代では風俗こそすっかり様変わりしてしまいましたが、根本的な人間の姿はほとんど古びていないのには驚きました。無意味で空虚な仕事がもたらす精神の荒廃、お役所仕事の弊害(序盤はシン・ゴジラにもそっくり)、肉親の間ですらどこかよそよそしさが付きまとう人間関係、うちの中もおもてもおんなじ寒さという日本の住宅事情への愚痴まで現代と変わらない(笑)。日本社会の本質がこの時代から大して変化していないというだけかもしれませんが、これは人間への真摯な観察の賜物でしょう。しかし細部の描写はいいのですが演出や脚本がそれほどうまいとは思えません。志村喬が病院待合室で診察を受ける前の会話では他の患者が胃がんなのに胃潰瘍と言われたと語られ、後の場面で医者に同じことを言われるんだろうなと簡単に推測できてしまいます。酒場での小説家との会話では胃がんが人生に対する目を開かせたなんて作品のプロットを全部台詞で説明しちゃってます。小田切みきとの交流は今見るとパパ活みたいで真面目に見るべきなのか笑えばいいのか…。有名なハッピーバースデーのシーンも分かり易すぎていかにも演出の作為が見えてしまいます。葬式のシーン以降はやっぱり長すぎますし、社会批判というよりは主人公をひたすら賞賛しているだけのように見えてしまいます。本来は社会風刺喜劇になるべきところにヒューマニズムドラマまでつぎ込んでいるのでどうにもバランスが悪いです。しかしバランスが悪かろうと語り方が下手だろうと伝えたいテーマを何としてでも伝えようとする姿勢は立派だと思います。「わしは人を憎んでなんかいられない、わしにはそんな暇はない」こういう心を揺さぶる台詞が出てくるのはやはり小手先の技術ではないと思います。ダメなところもたくさんあるとは思いますが、黒澤明はやっぱり偉大な監督です。
Сакурай Тосиоさん [インターネット(邦画)] 7点(2023-04-08 22:21:27)(良:2票)
Сакурай Тосио さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2023-11-05キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン5レビュー7.20点
2023-11-04天国にちがいない5レビュー5.00点
2023-11-03セリ・ノワール5レビュー5.00点
2023-11-02野獣死すべし(1980/イタリア)5レビュー5.00点
2023-11-01マラソン マン3レビュー5.83点
2023-10-31ガザの美容室5レビュー5.33点
2023-10-30ザ・ハント(2020)4レビュー6.72点
2023-10-29切腹7レビュー8.33点
2023-10-28聖地には蜘蛛が巣を張る6レビュー6.33点
2023-10-27ALWAYS 三丁目の夕日7レビュー7.15点
生きるのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS