地獄でなぜ悪い の 民朗 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > シ行
 > 地獄でなぜ悪い
 > 民朗さんのレビュー
地獄でなぜ悪い の 民朗 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 地獄でなぜ悪い
製作国
上映時間129分
劇場公開日 2013-09-28
ジャンルアクション,コメディ,ヤクザ・マフィア,バイオレンス
レビュー情報
《ネタバレ》 園子温監督は自伝の中で、如何に現在の日本映画界で「泣ける」「感動できる」映画が持て囃されていて、観客に「泣かせること」を至上命令とするような映画が溢れていることに憤りを顕にしていました。そして黒澤明や深作欣二など日本を代表する名匠の映画には、唯々泣ける映画は殆ど無く、自分はそういう映画を作りたいと熱い思いを吐露していました。
そして完成した映画が『地獄でなぜ悪い』です。いや、園監督は実質的デビュー作『自転車吐息』から基本的に常に同じ路線で突っ走っていると思います。「どうしたら観客にショックを与えられるか?」「自分が作りたい映画とはどういうものなのか?」、という問を追求されてきた監督です。しかも下手をすると単なる自慰行為とも呼べる映画になる所を、園監督は観客を満足させるサービスも忘れずふんだんに盛り込んで映画を作り上げる。これは別の芸術家の言葉ですが、芸術作品は畢竟「混沌(コンフュージョン)」と「秩序(オーダー)」のバランスが大事なのだ。園監督はそのバランスの取り方が実に上手いと思います。
本作も正にそういう作りで、クライマックスではヤクザ同士の殺し合いが只管に続き、血が其処此処にビュービュー飛び出て、首がポンポンすっ飛び、銃声がガンガン鳴り響き、怒号が飛び交う。これは観客に向けたサービスと取るべきでしょう。オープニングから『仁義なき戦い』のテーマが流れる通り、この映画は深作欣二監督のタッチに非常に近いと思います。迫力のある残虐描写と気の抜けたギャグが連続する。正に深作欣二の世界。観客は地獄の乱痴気騒ぎに身を委ねるのみです。そこに園監督の映画への熱い思い、一生に一本の映画を取れるなら命なんて要らない!いい暮らしをして平凡な映画を作り続ける位なら死んだ方がマシ。そんな話が展開していく。
ある種の観客や映画の作り手にとってはこれ程のサービスは無いでしょう。そのサービスを全く有難がらない方がいらっしゃるのも当然です。私には最高のサービスでした。
民朗さん [映画館(邦画)] 9点(2013-10-11 22:04:14)(良:1票)
民朗 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2017-12-18スター・ウォーズ/最後のジェダイ8レビュー5.79点
2015-10-28アラビアのロレンス9レビュー7.94点
2015-10-23ジョン・ウィック7レビュー5.90点
2015-10-23フレンチアルプスで起きたこと9レビュー6.41点
2015-10-23テキサス・チェーンソー5レビュー5.77点
2015-10-14マイ・インターン6レビュー6.69点
2015-10-08バクマン。8レビュー6.79点
2015-10-02キングスマン8レビュー6.80点
2015-09-24バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)9レビュー6.37点
2015-09-23クロニクル8レビュー6.60点
地獄でなぜ悪いのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS