体格も表情もいたいけな子供そのものでありながら、その大きな目 .. >(続きを読む)
体格も表情もいたいけな子供そのものでありながら、その大きな目だけは、ほとんど老成した大人を感じさせてしまうほど冷徹で醒めている。この主人公オスカルは戦争(=ナチス)を拒絶するために自ら成長を止め、声高に抗議するあまりガラスを割ってしまう。彼はあらゆるこの世の対立する両極を冷静に見つづける、善と悪のどちらをも自在に操る異端児のようである。彼を演じるダーヴィト・ベネントの適役ぶりと、見事なほどの好演は万人の認めるところであり、彼でなければこの作品は成立していなかったのじゃないかと思うほど魅力的だ。