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カメラは主人公から決して離れず、ワンシーン・ワンカットを貫く。観客は主人公の見る世界と同じ世界を見ながら「トゥモロー・ワールド」を進んで行く。大規模なアクション・シークェンスも緻密な計算と、それとは判らないデジタル処理で恐ろしくリアルに作りこんである。また、切り返しのシーン等ではドグマみたいにカメラを振る様な愚かなことはせず、きっちりとカットを割り、観客にカメラの存在を意識させない。本作はアルフォンソ・キュアロンのこだわりとセンスが遺憾なく発揮された仕上がりです。しかし「主人公の見る世界」しか描かれない為、肝心の「ヒューマン・プロジェクト」の実態や不妊への対応、そしてキーの秘密等、物語の設定が掘り下げられていないことには不満が残りました。それでもSF映画のスタイルとしては非常に新しく、一見の価値ある作品だと思います。それに、子孫を残せなくなる人類というのは、かなり現実感のある題材じゃないでしょうか、6点献上。[良:1票]