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<ネタバレ>ナショナルジオグラフィック誌2006年10月号からの引用です。
【南米メキシコ・テオティワカンの「月のピラミッド」で死の儀式の痕跡が発見された。
愛知県立大学の教授杉山三郎とメキシコ国立人類歴史学研究所のルベン・カブレラ・カストロが率いる調査隊が、月のピラミッドから身の毛もよだつ埋葬跡を発見したのだ。埋葬跡は5カ所に及んでいた。
月のピラミッドの埋葬跡には、胴体から切り離された頭蓋骨や、異民族の戦士や聖職者の亡骸、肉食の哺乳類、猛禽類、獰猛な爬虫類の死体が残されていた。
いずれも生け贄として神に捧げられたようだ。】
このように映画での描写のように、生け贄として異民族を殺害することは行われていたようです。
当然ながら『異民族』からすれば迷惑この上ない話であって、逃亡を図る者もいてもおかしくはありません。
史実に着想を得た逃亡劇と言えると思います。
生け贄のシーンは確かにリアルすぎて胸が悪くなるような描写も多々あります。
首を切り落とされた胴体が血を吹き出しながら階段を転げ落ちていくシーン。
無数の死体がうち捨てられた巨大な窪地。
でも、それはメル・ギブソン一流のリアリズムであって、残虐シーンを描きたかったわけではないという印象を受けました。
人間本来の自らと家族の生命を守るという本能を描きたかったのでしょう。
逃亡シーンの描き方はやや冗長な印象がありますし、反撃に出る部分ではランボーを思い起こさせるようなシーンもあり、やや不消化な部分があったように思います。
もう一捻り欲しかったところです。
前半で描かれる主人公の集落での平和で楽しげなシーンはそれだけで秀逸と思いますし、生け贄シーンとの対比という意味でも重要なシーンです。
個人的には好きな作品です。