4.河内松原は私の地元近く。この歌に出てくる「ワレッ」も子供時分に祖母宅に集まった時の大人の会話で飛び交っておりました。川谷拓三の台詞回しは勢いありきで、微妙に河内弁のニュアンスが違うような・・・ しかしながら、クマムシのような無敵さで突っ走る徳松を熱演するのを呆気にとられながら見入ってました。 呆気にとられていたのは、田中浩・今井健二の名悪役ご両人からも見てとれました +1点 たびたび流れる河内音頭に、毎年、盆踊りに出掛けていた大昔の記憶が蘇った作品です。 |
3.私、生まれ育ちは河内と言っても「北河内」と言われるエリア、こういう本場モノには太刀打ちできず、ウチの方がナンボかお上品ざます、と思っているのですが、それでも何でも、子どもの頃、近所の盆踊りには必ず河内音頭が流れていて、たぶん、刷り込み入っちゃってます。 さてこの映画。ミス花子の同タイトルの歌にあやかって、適当にでっち上げられたような作品ですが、それでも何でも、面白いものは面白い。 主演はもちろん、川谷拓三。何がもちろんなんだかよくわからないけれど、これ以外のキャスティングは考えられません。新しいタイプのヒーローがここに誕生。ガサツで喧嘩っ早いんだけど、ちっとも強くない。ただし強くないと言ってもそれは腕っぷしのことであり、生命力という点では滅法、強い。この人たぶん、何されても死なないのでは。 そういう主人公を、これでもかと体を張って、過激に演じてみせる。川谷拓三という大部屋たたき上げ俳優の、真骨頂ですね。一方で、若き日の岩城滉一が、飄々としています。河内の原住民たちに交じった、異分子。 後半、舞台は東京へ。やくざ映画であれば、殴り込みをかけに敵地へと主人公が向かう場面で演歌調の主題歌が流れるところですが、この作品、人影のない薄明の東京の街に歩を進める主人公のバックに流れるは、もちろん、河内音頭。たぶん、ロケの都合上、人のいない明け方にでもゲリラ的に撮影したんじゃないのーとか思うのですが、それでも何でも、カッコいいものはカッコいい。東京の街に河内音頭が流れる、それだけでもう、充分ではないですか。それでも何でも。 ダサいって、素晴らしい。 【鱗歌】さん [インターネット(邦画)] 8点(2025-04-29 19:22:57) (良:1票) |
2.ネタバレ この名曲を映画化までしてくれたというだけですでに低い点はつけられないが、逆にいうと、たった1曲でここまでのイマジネーションを膨らませられるほど、このテーマソングはとてつもない名曲だったということである。●前半はとにかくカオスな生活が描かれる。「ちょっと聞いてくれ~」というだけで近所からわらわら人が集まって、そのまま宴会の開始。博打のカタで当然のように嫁入りし、その嫁も博打のカタになり、当の嫁自身も「博打のカタはきっちりつけんとあかん」と言い残してあっさり敵地に赴く。女子高生(?)が堂々と大人を挑発したら、周囲も「やってしまったもんはしゃあない」と縁組を認める。カオス以外の何物でもない。しかし製作側にはもちろん何の迷いも作為もないわけで、やはり映画とはこのように堂々としていてほしい。●終盤、場面が東京に移動してからは、ちょっとテンションが落ちるかな・・・せめて大阪市内くらいで収められなかったのかとも思うけど、前半でさんざん東京がどうのこうのという伏線を張っているから、仕方ないか。 【Olias】さん [DVD(邦画)] 7点(2017-03-27 01:35:15) |
1.ネタバレ 同年発表の同名の歌(いわゆるフォークソング)を映画化したとのことで、劇中では歌詞を台詞にした場面もある。とりあえずこれが川谷拓三氏の初主演映画ということになるらしい(いわゆるポルノ映画を除く)。場所は大阪府松原市と特定されているが、別に地元が誘致したわけでもないだろう。
前半は善良な庶民の出る下町人情物のような感じになっているが、東京の下町よりは少し気が荒いようである。祭りで盛り上がった勢いで真昼間から通りがかりの婦女を拉致する連中がいたのは治安上の問題だと思うが、こういうのは当時の現地事情の反映と思っていいのかどうか。 劇中世界では性道徳が緩いように見えていたが、しかし据え膳食わぬは男の恥などと誘いに乗ってしまうとそれだけでタガがはめられて責任取らされるらしいので注意が必要である。昔でいう“婚前交渉”と事後的にでも認定されなければ追及を免れないらしく、意外に厳格な社会的規制がかかっていたようだが、まあこれ自体は現地の習慣というより当時の全国的な社会倫理を反映したものかも知れない。ほかに劇中で明示された地域社会の掟は「博打のケジメきっちり付けるのが河内者の仁義」ということだったが、これも社会秩序の維持のためには重要な規範だろう。 終盤にかかると一転して組織暴力との闘いになるが、死んだ人間の仇という割には穏便な処置で済ませてしまい、善良な庶民の領分を踏み越えることはしていない。結局、最後の始末は官憲に任せるという趣向になっていたが、これは当時の日本にあってもまだ、お上がきっちり社会の基盤を支えてこその天下泰平だという庶民意識を反映したものかも知れない。 時代が違うということもあり、自分としては特別こういう映画に共感する素地もないわけだが、それでも結構面白く見られる娯楽映画ではあった。
なお昔の映画のため、女優では夏純子さんくらいしか知っている人がいない(さすがにミヤコ蝶々は知っているが)。夏純子さんは東京郊外の出身のはずなのでウソ河内弁だが、この人のきりっとした顔にはいつもほれぼれする。借金のカタになったとはいえ(これ自体が人権問題)劇中のオッサンにはもったいない。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 5点(2016-02-22 19:49:54) |