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<ネタバレ>一言で言えば「太平洋戦争前後を舞台にものすごく丁寧に描かれたサザエさん」
丁寧に丁寧に独特の空気感で描かれたこの映画が絶賛されるのはとてもよくわかります。
製作者の熱意が半端ない事が、観ていてこれだけ伝わる映画もそうそうありません。
私の父は、この映画のヒロインより少し年下のはずなのですが、映画中にもそういうシーンがあるように実際に学徒動員で兵隊にとられていて、ただそのときすでに昭和20年。
タイミング的にはすずさんの旦那さんが兵隊に転換になった時期くらいで、実際に戦場に出る前に戦争は終わりました。
(もう沖縄まで落ちてたわけで内地の人間は本土決戦に備えるしかない時期だったわけですから)
そして父が戦場にいかなかったおかげで、今現在、私はこの世界の片隅ですごせているわけです。
映画中でも原爆のタイミングですずさんが呉にいたのか広島にいたのか…は本当に紙一重の運でしかありません。
そもそもすずさんがあの家に嫁入りしたこと自体、本当に子供の頃のただの偶然だし、時限信管の爆発に巻き込まれてしまうのも実は本当にささいな偶然です。
つらい事もあり楽しいこともある現在の自分の状況は、歴史の中で語られないレベルの本当にささいな偶然の連鎖の中で生まれたものにすぎないという事がとてもよくわかる映画だと思います。
で、そんな今の自分を前向きにとらえるか後ろ向きにとらえるか…それは全部自分自身で決める事なのです。
特別なヒーローなんかじゃない、この世界の片隅でほそぼそと生きている平凡で非力な人間に出来る事はそれくらいしかないわけですから、だったらせめてそこはポジティブに捉えた方が人生何かと幸せなんじゃないでしょうか。[良:1票]