<ネタバレ>大義や理想の前で弱き者が犠牲になり、肉親の絆すらも断ち切られ .. >(続きを読む)
<ネタバレ>大義や理想の前で弱き者が犠牲になり、肉親の絆すらも断ち切られる。痛い映画です。戦争がもたらす傷は、その時だけのものではなく、ずっとずっと後の時代になっても残り続けます。この映画で描かれたような悲劇はアイルランドだけではなく、ドイツや朝鮮半島、ソ連崩壊後の国々、そしてイラクでも現在進行形で続いています。志を同じにしながらやがて仲違いしてゆく1組の兄弟の姿を通して、大義や思想に縛られる事、それを人間性よりも優先してしまう事の恐ろしさを説いています。この映画に出てくる人々は皆、熱く語りながらどことなくクールで、それゆえ強い感情移入はせず、ラストでも涙は出ませんでしたが、心にずっしりと重くのしかかってくるものが残りました。ちょっとカメラが動きすぎで像がブレてる事が多かったのが残念ですが、兄弟や幼なじみを殺さなければならないという異常さが異常ではない状態が訪れる可能性が誰にでもある、という事を力強く示してみせた力作でした。