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<ネタバレ>けたたましいパーカッションと共に、煙の中から立ち上がるタクシー。
フロントウィンドウに浮かび上がる、とろけるようなネオンサイン。
トラビスは言う「俺にもわからない」。
自分の中に満ちている苛立ちの正体。持て余すエネルギーを向ける先。
ニューヨークの街をタクシーで流しながら、自分と同じ孤独の香りを探し求める。
しかし世界はいつも彼の向こう側に立つ。トラビスはそんな世界を憎悪する。
「イカレてるのは俺じゃない、向こうだ」
銃を手に入れ、体を鍛え直し、完全武装を開始する。
シークレットサービスをからかい、鏡の前で勝利の妄想に酔う。
トラビスの行動は、子供じみたヒロイズムと利己的な正義感を糧に加速する。
少女の救出劇をカモフラージュに、自らの最後を飾る戦場を作り上げた。
血まみれのトラビスは救った少女に目もくれず、自分の顎に銃口を定める。
こめかみに指を突き立て、自らに引導を渡した。
この世界から逃れられないのなら、どうにか上手く付き合っていくしかないのだ。[良:1票]