しっとりした音楽といい暗鬱な雰囲気といい、好きなタイプの作品 .. >(続きを読む)
しっとりした音楽といい暗鬱な雰囲気といい、好きなタイプの作品だと思ったのだが、残念ながら不完全燃焼に終わってしまった。
登場人物の掘り下げが足りない、全体的に単調で美しい映像もほとんどない、脚本のそこかしこが他作品に似ていて違和感を覚える(ま、パクリというには微妙過ぎるんですが。しかしこのラストは『ジャクリーヌ・デュブレ』では…)、――どこをとっても中途半端で、不満が残る。
とりわけ主人公以外の登場人物が充分に描ききれていない点はどうかと思う。主人公の恋人、保護施設の職員、父親である有名作家といった重要な役割の人物像がわかりそうでわからない。生きた人間としての実在感がいまいち、浮かび上がってこない。
良作の香り漂うテーマだっただけに、もうちょい頑張ってほしかった。